"祝儀袋と消えた花嫁" 第3話
「あれ、泣く? 泣いちゃう?」
私がからかうと、優也は慌てて顔を背けた。
「泣くわけねえだろ」
「別にいいのに。泣いても」
「結婚式当にとっておく」
「それがいいよ」
そう言って2で笑った。
その夜、優也は「またあかりに話してみるよ」と言った。私は「よろしくね」と返した。
けれど結局、私があかりちゃんと言葉を交わすことはなかった。
そうして迎えた結婚式当。
私は朝から落ち着かなかった。
選んだのはネイビーのドレスだった。優也が「番似う」と太鼓判を押してくれたものだ。
胸元にはさりげないフリルがあり、落ち着いたなのにし華やかさもある。披宴では郎側の親族としてお酌をしてテーブルを回るつもりだったので、袖はきやすいすっきりしたデザインを選んだ。
ヘアメイクはプロにお願いした。
鏡のの私は、いつもよりしだけ背筋が伸びて見えた。ナチュラルにえられた髪とメイクのおかげで、齢相応に落ち着きながらも、きちんとれのにふさわしい姿になっている気がした。
「優也、んでくれるかな」
さく呟き、私はバッグを持って式へ向かった。
式に着くと、まだしがあった。私はまずスタッフに挨拶をするため、ロビーへ向かった。
「郎、優也の姉です。本はどうぞよろしくお願いいたします」
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そうをげると、受付のスタッフも案内係も、皆笑顔で応じてくれた。
「おめでとうございます。本はよろしくお願いいたします」
仕事だから当然なのかもしれない。
それでも、その笑顔が嬉しかった。
ただ、担当のプランナーだけがし疲れたような顔をしていた。目のにうっすらがあり、ここにあらずといった様子で挨拶を返している。
「どうしたんだろう」
気になって見ていると、そのプランナーは婦の控えをたり入ったりしていた。何度もをげ、資料を確認し、どこかへ連絡をしている。
式当だから忙しいのだろう。
最初はそうった。
けれど、控えの方からかすかに鳴る女性の声が聞こえた、胸の奥に嫌な予が広がった。
その、式の入りが急に賑やかになった。
総勢30名の親族を乗せたバスが到着したのだ。
私は慌ててロビーの入りへ向かった。
「皆さま、本はありがとうございます。お久しぶりです」
をげると、親族たちは斉に私を囲むように集まってきた。
「京子ちゃん、きくなったねえ」
「久しぶり。今はおめでとう」
「あのさな優也が結婚だなんてね」
「今まで変だったでしょう」
懐かしい顔ばかりだった。
その声を聞いた瞬、胸の奥がくなった。両親がくなった、私と優也が2で暮らすとわがままを言った、親族たちは反対するだけではなく、見守るを選んでくれた。
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銭な援助をしてくれたもいた。
学の続きや活の相談に乗ってくれたもいた。
季節ごとにべ物を送ってくれたもいた。
私は優也の母親代わりをしてきたとっていたけれど、本当はたくさんのに支えられてきたのだ。
「弟の母親代わりができたのは、皆さまの支えがあったからです。本はいところから本当にありがとうございます」
私がをげると、親族の何かが目を潤ませていた。
「京子ちゃんも、今は楽しみなさいよ」
「はい」
私は笑顔で返事をし、親族を控えへ案内した。
しだけロビーで座ろうとって戻ると、また入りの方が賑やかになった。
今度は弟の友たちを乗せたバスが到着したようだった。総勢20名。学代からの友、職の同僚、幼い頃からに遊びに来ていた子たちもいる。
「あ、優也の姉ちゃんだ」
「久しぶり!」
「今はお姉ちゃん元気だった?」
「京子姉ちゃん!」
また私は囲まれてしまった。
彼らは昔、だらけの靴でがにがり込み、優也とゲームをしたり、カレーをおかわりしたりしていた子たちだった。それが今では、みんなスーツを着て派なの顔をしている。
「みんなスーツなんか着て、急にになったみたい」
私が言うと、1が笑った。
「なんだよ、それ。もうだし」
「姉ちゃん、相変わらずだな」
「いや、京子姉ちゃんに褒められると照れるわ」
賑やかな友たちは、担当スタッフに別の控えへ案内されていった。