"20年目のマネキン" 第6話
失踪から2週、聞にリナの写真と報提供を求める記事が掲載された。
いくつかの話が警察に入った。
「彼女に似た女性を本のカフェで見た」
「配の男性と緒に歩いていた」
「駅のくで見た気がする」
本は全ての報を確認した。
しかし、どれも誤りだった。
警察は複数の仮説を検討した。
最初は自発な失踪。
リナがしいを始めるため、族に告げずどこかへったのではないかという説だった。けれど、これは証拠にわなかった。所持品はアパートに残されている。座は使われていない。友や両親との関係も良好だった。自分から消える理由が見つからない。
2番目は、売買を目とした誘拐。
2000代初の京には、若い女性をだまして連れり、国内の違法な仕事へ流す犯罪グループがしていた。しかし、そうした事件には通常、目撃者や争った形跡、銭求など何らかの痕跡が残る。リナの失踪には、それもなかった。
3番目は、本にとって最も能性がいとわれた説だった。
リナは神聖モデルズの事務所内で、誰かに危害を加えられたのではないか。
そしてその誰かは、本田剛ではないのか。
だが、証できなかった。
遺体はない。
目撃者もいない。
直接な証拠もない。
本は何度も神聖モデルズを訪れた。
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本田に再び話を聞き、証言の矛盾を探そうとした。
けれど本田は落ち着いていた。
全ての質問に緊張せず答え、嘘発見器の検査を受けるさえ示した。
「私は何も隠していません」
本田はそう言った。
数ヶが過ぎた。
しい事件が次々と入り、警察署のでは即座の対応が必な案件が優先されていった。リナの事件はしずつ回しにされていった。
両親は何度も警察署を訪れた。
「何か分かりましたか」
「娘は見つかりそうですか」
そのたびに、本はをげるしかなかった。
報告できるしい報は何もなかった。
リナの両親は、それでも娘のアパートを解約しなかった。いつか戻ってきた、全てがそのまま残っているようにしたかったのだ。
賃を払い続け、部を保ち続けた。
2003までに、事件は事実の保留状態になった。
本は正式には閉じなかった。けれど、積極な捜査は止された。
それでも彼は、定期に事件ファイルをいた。供述を読み直し、リナの最の写真を見つめた。神聖モデルズで撮されたキャスティング写真。い背景ので、リナはまっすぐカメラを見つめている。
解放な笑顔を浮かべた美しい女。
それが、彼女のきている最の写真になるとは、誰もらなかった。
神聖モデルズは営業を続けた。
本田剛はモデルを撮し、事務所を運営し、仕事を広げていった。
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リナという女など最初からしなかったかのように、は回り続けた。
けれど、本だけは忘れられなかった。
2010、勤めた警察を退職したも、加藤リナの事件資料は自宅の斎に残っていた。彼は々それを取りし、当見落としたものがなかったかを探した。
あの事務所に何かあった。
あの男は何かを隠していた。
けれど、証拠は見つからない。
そのいだけが、を越えて本のに残り続けた。
本田剛は2016、64歳で臓発作によりした。
遺体は自宅のアパートで発見された。妻とは婚しており、最の10は1で暮らしていた。因は自然と判定された。検では、の喫煙と座りがちな活習慣に由来する臓の損傷が確認された。
本田の、神聖モデルズは彼の甥である若い実業、鈴啓が引き継いだ。
鈴は古くなった事務所を代化しようと考えた。今の所ではなく、もっとしく、るく、現代なオフィスへ移転する。材も更し、事業戦略も変える。
移転は2022のに予定された。
引っ越し会社が雇われ、材、具、アーカイブ、装、撮具が次々と梱包されていった。
20221021。
作業員のチームと、神聖モデルズで25以清掃員として働いてきた田秀夫が、古い事務所のビルに到着した。田は57歳。無で几帳面な男だった。
彼の仕事は、主な物品が撤されたの清掃だった。
を洗い、ゴミを取り除き、棚やクローゼットに何も残っていないか確認する。
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