みかん小説
本棚

"食卓追放の1億3000万" 第7話

を軽んじないでね」

それだけ言って、私は扉を閉めました。

タクシーがすと、バックミラーので3の姿がさくなっていきました。

その、私は族という名の檻からたのです。

そのの夜、匠から何度も話が来ました。

私は最初の1回だけました。

「母さん、本当にごめん。考え直してくれないか」

匠の声は、これまで聞いたことがないほど焦っていました。

私は荷ほどきのを止めずに答えました。

「もう遅いわ。それに、私たち族じゃないでしょう」

「あれは真美が勝に」

「あなたも同していたわ」

匠は黙りました。

しして、苦しそうに言いました。

「でも、宅ローンが払えなくなる」

「それはあなたたちの問題よ」

私は話を切りました。

すぐにまたかかってきましたが、着信拒否にしました。

そのの話は、づてにしずつに入りました。

真美さんは実に泣きついたそうですが、経済な余裕がないと断られたそうです。正司は退職をギャンブルで使い果たしていたことが発覚し、匠と喧嘩になったと聞きました。

額な宅ローンを抱えた匠は、残業続きで体を壊し始めました。真美さんとの関係も悪化し、では言い争いが増えたそうです。

彼らは今になって、私の援助がどれほどきかったかを実しているのでしょう。

広告

でも、それはもう私には関係ありませんでした。

私は実しい活を始めました。

は古いでしたが、広いキッチンがありました。両親が残してくれた庭もあり、朝になると柔らかなが台所に差し込みます。

初めてそのキッチンにった朝、私はく息を吸いました。

自分のために使える台所。

誰にも「汚す」と言われない所。

誰にも「使わないで」と言われない所。

包丁を握るに、自然と力が戻りました。

義姉や所のたちも温かく迎えてくれました。

子ちゃんが戻ってきてくれてうれしいわ」

「料理教、楽しみにしてるのよ」

そんな言葉をかけられるたびに、胸が温かくなりました。

お荷物は確かに消えました。

でも、それは彼らが望んだことです。

因果応報。

その言葉のを、彼らはをもってることになったのだといます。

での活が始まって3ヶが経ちました。

が差し込む広いキッチンで、私は徒たちを迎える準備をしていました。磨きげた作業台のに、材料を順番に並べます。バター、、牛乳、玉ねぎ、ワイン。今はフレンチの基本、ベシャメルソースを教えるクラスです。

「佐々、おはようございます」

玄関から元気な声が聞こえました。

徒たちが次々と集まってきます。20代から70代まで、齢はさまざまでした。

広告

料理を基礎から学びたい族においしいものを作りたい、定の趣を探している。それぞれのいを持って、私の教へ通ってくれています。

「今はベシャメルソースから始めましょう」

私は鍋をにかけ、バターを溶かしました。

「焦がさないように、でも怖がりすぎないで。りがつ瞬をよく見てください」

徒たちは真剣にメモを取ります。

を加え、べらでゆっくり混ぜる。そこへ温めた牛乳をしずつ注ぎ入れる。首のき、加減、艶の見方。ホテル代に磨いた技を、惜しみなく伝えました。

「先さばき、本当に美しいですね」

「30のプロの技は違います」

徒たちの言葉に、が温かくなりました。

お荷物どころか、私の技術と経験をから敬ってくれるたちがいる。

は予気でした。今では週5クラスをき、収は50万円を超えています。自分の腕1本で、これだけばれ、収入も得られる。そのことが、私にきな自信を与えてくれました。

のクラスが終わり、徒たちとお茶をんでいると、50代の徒さんがぽつりと言いました。

「先、実は私も嫁との関係で悩んでいたんです」

私はカップを置き、彼女の方を見ました。

「そうだったの」

「でも、先の料理とき方を見て勇気をもらいました。自分のは自分で決めていいんだって」

私は静かにうなずきました。

「そうよ。誰にも、あなたの尊厳を踏みにじる権利はないわ」

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: