"食卓追放の1億3000万" 第2話
本当にありがとう」
あのの表を、私は今も忘れていません。
だから、信じていたのです。
どれほど代が変わっても、親子のだけは変わらないと。
けれど、5に匠が真美さんと結婚してから、しずつ変化は始まっていました。
最初はさなことでした。
私の料理に対して、真美さんが「しが濃いですね」と言うようになりました。
「昔ながらのってじですね」
その言葉には、褒めているようでいて、どこか古いものを見す響きがありました。
匠も、最初は曖昧に笑っているだけでした。けれど、次第に真美さんに同するようになりました。
「確かに母さんの料理は昔かもね。真美の料理の方が現代でおしゃれだよ」
プロのシェフとして、私は栄養バランスもの組みても考えて作っていました。けれど、若いには若いの好みがあるのだろうとい、私は黙って受け流しました。
夫の正司も、いつのにか真美さんの方ばかりするようになりました。
正司は元公務員で、定はにいるが増えました。以は私の料理をんでべていたのに、最では「真美ちゃんの言う通りだよ」が癖になっていました。
私は別居している息子のへ、週末に通うのを楽しみにしていました。
美緒の顔を見ること。
料理を振るうこと。
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族みんなで同じ卓を囲むこと。
それが、私にとって何よりのびだったのです。
それなのに今夜、私はついに卓から締めされました。
客のさなテーブルので、シチューの表面がく膜を張っていました。
スプーンをに取っても、へ運ぶ気にはなれません。
私の居所は、もうこのにはないのでしょうか。
そううと、胸の奥が静かに痛みました。
考えてみれば、最初の異変は3のお正でした。
私はそのも、朝くからおせち料理を作っていました。黒豆、数の子、煮しめ、伊達巻き、老の艶煮。伝統のを切にしながら、若いにもべやすいようしずつ夫していました。
卓に箱を並べると、美緒は目を輝かせました。
「きれい」
その言だけで、私は分うれしかった。
けれど、真美さんは箸をつけるに、眉をひそめました。
「お母さんの作るおせち料理、しがいんじゃないですか?」
私は箸を止めました。
「そうかしら。でも、これがうちのなのよ」
できるだけ穏やかに返しました。
真美さんは満げに唇を結びました。
「最はが健康にいいって言いますし、私たちの世代にはわないかもですね」
その、匠が横からを挟みました。
「確かに母さんの料理は昔だよね。真美の料理の方が今っぽいし」
私は笑顔を作りました。
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「そう。今度、真美さんのも教えてね」
そう言いながら、胸の奥ではさな棘が残りました。
半には、キッチンを使うことにもをされるようになりました。
その、私はいつものように材を持って息子のへきました。美緒の好きなクリームコロッケを作るつもりでした。蔵庫に材料を入れ、を洗い、エプロンをつけようとした、真美さんが申し訳なさそうな顔でづいてきました。
「お母さん、申し訳ないんですけど、キッチンはできるだけ使わないでいただけますか?」
私はを止めました。
「キッチンを?」
「せっかくしくしたシステムキッチンなので、汚されたくないんです」
汚す。
その言葉に、私は息を詰めました。
私は誰よりに、丁寧にキッチンを扱ってきたつもりでした。ホテルの厨ではが最優先でした。その習慣は今も変わりません。
「でも、皆に料理を作りたいし、片づけも私がきちんとするわ」
そう言うと、真美さんは柔らかく笑いました。
「丈夫です。私が作りますから、お母さんは休んでいてください」
言葉だけなら親切でした。
けれど、その笑顔は私に台所からていけと言っていました。
さらに状況は悪くなりました。
ある、リビングで美緒と緒にテレビを見ていると、真美さんが苛った様子で言いました。
「お母さん、リビングはちょっと……私、お客さんを招くこともあるので、できるだけ客でお願いできますか?」
私は美緒の方を見ました。