"消された登山日誌" 第11話
けれど、そこに恵子の姿はもうない。
それでも、ようやく彼女はに戻った。
平成元6。
本浩司の裁判が始まった。
方裁判所の法廷に、本はった。かつてのでは誰からも信頼されたガイドだった男は、今は被告としてそこにいた。
検察官は厳しく追及した。
「被告は、信頼されていた登ガイドというを利用し、田恵子さんの命を奪いました。そして13、真実を隠し、遺族を苦しめ続けました。極めて悪質な犯です」
本は俯いたまま、何も言わなかった。
弁護は状酌量を求めた。
「被告はなの爆発で犯に及びました。その、13、良の呵責に苦しんできました。どうか寛な判決をお願いします」
しかし裁判は厳しい表で言った。
「被告は、被害者の信頼を裏切り、卑劣な犯に及びました。そしてにわたり真実を隠蔽し、遺族を苦しめ続けました。到底許されるものではありません」
判決の。
法廷の傍聴席には、誠と美穂が座っていた。美穂は母の写真を胸に抱いていた。
裁判が判決を読みげた。
「被告、本浩司に対し、懲役15を言い渡す」
法廷は静まり返った。
本はゆっくりをげた。
「田さん、本当に申し訳ございませんでした。13、苦しめてしまって……」
しかし誠は何も言わなかった。
ただ、妻の写真を抱きしめていた。
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美穂も母親の写真を見つめた。
写真のの恵子は、笑顔でを登っていた。その笑顔を、もう2度と見ることはできない。
判決の、誠と美穂は青峰を訪れた。
恵子が最に歩いたを、2で登った。葉の季節ではなかったが、には静かなが吹いていた。
頂につと、恵子が見た景が広がっていた。
々がどこまでも続き、が流れ、くの稜線が淡く霞んでいる。
誠は空に向かって語りかけた。
「恵子、やっと真実が分かった。おは何も悪くなかった。ただをしていただけだった」
美穂も涙を拭きながら言った。
「お母さん、131で寂しかったね。でももう丈夫。私たちがいつも緒だから」
2はをわせ、静かに祈った。
のが優しく2を包んだ。
まるで恵子がそこにいるかのようだった。
それから数が過ぎた。
事件の真実がらかになっても、失われたが戻ることはなかった。誠と美穂のには、言葉にできない空が残り続けていた。
それでも、2はしずつへんでいった。
美穂は結婚した。
式の、控の鏡のでい装をえながら、美穂はさな写真てを胸に抱いた。そこには若い頃の恵子が写っていた。ので、子をかぶり、し照れたように笑っている写真だった。
「お母さん、見ていてね」
美穂はさく呟いた。
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披宴の席には、母の写真も置かれた。誠はその写真を見ながら、静かに目を細めていた。
式の、美穂は夫と共に母親の墓を訪れた。
を供え、線をてる。が吹き、線の煙が細く空へ流れていった。
美穂は墓で報告した。
「お母さん、私、幸せになります。見守っていてください」
誠も隣にち、恵子の墓に語りかけた。
「恵子、娘は派に育ったよ。おが誇れる娘になった。して眠ってくれ」
その声には、13分のしみと、ようやく訪れた堵が混じっていた。
田恵子の事件は、こうして幕を閉じた。
信頼していたに裏切られ、13も真実が隠されていたしい事件だった。
しかし最には真実がらかになり、恵子は族の元へ戻ることができた。
青峰は今も静かにそびえている。
になると、美しい葉がを彩る。恵子がした景は、変わらずそこにある。
が々を揺らし、登には落ち葉が積もる。くから見るは、何もらないように美しい。
けれど、そのの奥には、1の女性のと、族の13が眠っていた。
恵子はただ、をしていただけだった。
族に写真を見せたいと願っていただけだった。
3には帰ると笑って、玄関でを振っただけだった。
そのさな常が突然奪われ、族はい、答えのないしみのを歩き続けた。
それでも、真実は消えなかった。
消された誌のに残ったい文字のように、どれほど隠そうとしても、真実はどこかに痕跡を残す。