みかん小説
本棚

"雨の日の給食費制裁" 第9話

胸元にはさなの刺繍があり、を受けて柔らかく揺れている。

「これ……きれい」

里はさく呟いた。

「試着してみる?」

里は瞬迷ったが、やがてさく頷いた。

試着からてきた里を見た瞬、私は胸がいっぱいになった。

のワンピースは、里によく似っていた。

「とてもいわ」

私が言うと、里は鏡のしだけ笑った。

その笑顔はまだ控えめだったが、確かに里自のものだった。

私はそのワンピースを買った。

帰り里は袋を両切そうに抱えていた。

「ばぁば、ありがとう」

「どういたしまして」

「これ、次のピアノのに着てもいい?」

「もちろんよ」

里は嬉しそうに頷いた。

、リビングで里の髪を結いながら、私はそっと語りかけた。

「これからは、欲しいものを何でも言ってね。でも、文具でも、習い事でも、慮しなくていいのよ」

鏡越しに、里が私を見た。

そして私のをぎゅっと握り返した。

「うん。でもね、ばぁばがそばにいてくれるだけでいい」

その言葉に、私は涙がそうになった。

振り返った里の顔には、私がずっと見たかった、久しぶりのからの笑顔が咲いていた。

この笑顔を守るためなら、私は何だってできる。

の夕方、ずぶ濡れで泣きながらやって来たあのから、私たちのきく変わった。

里はもう、誰かの見栄のために傷つけられる子ではない。

私はもう、善を利用され続ける祖母ではない。

夕方のリビングには、里の笑い声が響いていた。

窓のには穏やかなが差し込み、テーブルのには、しい袋と、きれいに削られた鉛が並んでいる。

私はその景を見つめながら、静かにに誓った。

これからは、この子の未来だけを守っていく。

どんなにがかかっても、どんな困難があっても。

里がもう2度と、自分の価値を誰かに踏みにじられることのないように。

私は、私にできるすべてを尽くしていく。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: