"雨の日の給食費制裁" 第3話
うちの子のセンスが疑われますわ」
そう言うと、弓は里のから乱暴にワンピースをひったくった。
「あっ……」
里のさな声が漏れた。
弓は値札を見て、わざとらしくため息をついた。
「それに、こんなペラペラな。1度洗濯したら終わりですわよ」
彼女はまるで汚れた布を扱うかのように、指先でワンピースをつまんだ。そしてそのまま、ぐしゃりと丸めて棚へ投げ捨てた。
里はその景を呆然と見つめていた。
さっきまで輝いていた瞳から、みるみるが消えていく。
私の胸が痛んだ。
「なんてことを……里があんなにんでいたのに」
そう言いかけた私のから、弓はさらにブラックカードをひったくった。
「それより、あちらのバッグ、作ですのよ。毎この子の面倒を見ている私へのご褒美にちょうどいいですわね」
弓は勝ち誇ったように笑った。
「お母様、こちらの方がよっぽど価値があるといませんこと?」
私はカードを取り返そうとした。
けれど、里が私のの裾をさく掴んだ。
そのが震えていた。
弓はわざと里の元に顔をづけ、ねっとりとした声で囁いた。
「いいこと? あんたみたいなガキの1枚より、私のバッグ1つの方が何百倍も価値があるの」
里の顔が真っになった。
弓はさらに、里の肩を乱暴に押した。
「分かったら、いつまでもめそめそしてないで、さっさと歩きなさい。
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邪魔よ」
里はさなでスカートをぎゅっと握りしめていた。
私は喉までかかった言葉を、必にみ込んだ。
やめなさい。
この子のを壊さないで。
本当は、そので弓を叱りばしたかった。カードを取り返し、里を抱えて帰りたかった。
けれど、当の私は恐れていた。
ここで弓の嫌を損ねれば、もう2度と里に会わせてもらえなくなるかもしれない。
里がどんな扱いを受けるか、もっと分からなくなるかもしれない。
その恐怖が、私の体を縛りつけた。
結局、弓は数10万円もするバッグを簡単にに入れた。
カードを員に差しすの顔は、まるで自分の力で得たもののように誇らしげだった。
「では、失礼しますわ」
弓は満そうにっていった。
残されたのは、俯いたままぽろぽろと涙をこぼす里と、何もできなかった私だけだった。
「里……ごめんね」
私が声をかけると、里は首を横に振った。
「いいの。里、わがまま言っちゃったから」
その言葉に、私はさらに胸を締めつけられた。
わがままなのは里ではない。
奪ったのは弓で、何もできなかったのは私だった。
それからというもの、里のなりはにに見すぼらしくなっていった。
ピアノの発表会には、結局、着ていたしさいワンピースでることになった。袖はく、肩回りも窮屈そうだった。
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台ので懸命弾く里の姿は健気だったが、そのを見るたびに私の胸は痛んだ。
学で使う文具も同じだった。
鉛は指で持てなくなるくらいくなるまで使わされ、消しゴムは端が欠けて黒ずんでいた。
私がしいものを買ってあげようとすると、里は怯えたように首を横に振った。
「ううん、いいの。これをママに見つかったら、また『ばぁばに媚を売ったのね、この恩らず』ってられちゃうから」
なんてことだ。
あの子たちは、里を支配し、私からざけようとしている。
私は息子の武志に相談しようとした。
けれど話はつながらない。メッセージには既読すらつかない。
武志はもう、完全に嫁と義母の言いなりになっているのだろう。
私はにに元気をなくしていく里のことが配で、夜も眠れないが続いた。
そして、あののがやって来たのだった。
里をお呂に入れ、温かいに着替えさせると、ようやくし震えが治まった。
それでも里は、私のそばをれようとしなかった。ソファに座っていても、私の袖をぎゅっと掴んでいる。
私は温かいココアを作り、里のに置いた。
「ゆっくりみなさい。もう何も配しなくていいから」
里は両でカップを包み、さく頷いた。
費滞納のおらせは、テーブルのに置いてあった。
そこにかれた額は、弓や里が級寿司で度に使う額に比べれば、あまりにもさなものだった。
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