"青いハンカチの花嫁" 第13話
由美さんのような輝く未来がある女性に、俺のような自由なが関わってはいけないと本気でっていたんです」
由美はしそうに目を伏せた。
「だから健の提案に乗って、俺はを引く決をしました。300万円は当の俺の族を救ってくれました。そのことには今でも恩をじています」
俺は言葉を区切り、く息を吸った。
「でも、健が嘘をついて由美さんにづく以、いつか彼が欲望に負けて彼女を傷つけるかもしれない。それが何より怖かったんです。だから俺は、このをかせました」
もし健が由美を切にし、本当に幸せにしてくれるなら、俺はこのを封印して墓まで持っていく覚悟だった。
自分が、をねだり取った卑劣な男だとわれても構わない。
でも、もし健が由美を裏切り、彼女を泣かせるようなことがあれば、そのはこのを使って健の嘘を暴き、必ず由美を助けす。
それが、俺が自分のプライドを差しした代わりにに入れた、最の切り札だった。
俺の言葉を聞き終えた由美は、そのに崩れ落ちるように座り込んだ。
「浩司さん……あなたはどこまで私を守ろうとしてくれたんですか」
由美の目から、止めどなく涙があふれた。
「自分の尊厳まで捨てて、1でずっとをかぶって……そこまでして私の笑顔を守りたかったなんて」
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それは、しみや恐怖の涙ではなかった。
10、見えないところでずっと自分を守り続けてくれた本当の恩に対する、すぎる謝の涙だった。
正社も目をくし、俺に向かってくをげた。
「浩司君。私はあなたというを誤解していた。娘の命だけでなく、娘のとそのものを守り抜いてくれたこと。父親としてから謝します」
親族席のあちこちからをすする音が聞こえた。
会の番ろの席では、俺の母がハンカチで顔を覆いながら、何度も何度も頷いていた。
10、俺が背負い続けてきた字架が、ようやくろされた瞬だった。
しかし、健は最まで壊れていった。
「ふざけるな、ふざけるなよ……」
突然、健がちがり、自分の髪を両で激しくかき乱した。
「俺が悪いっていうのか? 違う。悪いのは全部、俺をこんなに追い詰めた親父たちだ」
彼はにへたり込んでいた父親の夫の胸ぐらを乱暴に掴みげた。
「親父、あんたが会社を傾かせたから、俺がこんな面倒な芝居を打たなきゃならなかったんだろうが!」
健のからびしたのは、実の父親への罵倒だった。
「会社が危ないから、あのを使って由美のからを引っ張ってこいって、あんたが俺に言ったんだろうが!」
内同士の醜い責任のなすりつけいに、会は再び凍りついた。
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健は今度は慶子を指さした。
「お袋、あの俺が浩司に渡した300万円。あれはおが親父に内緒で溜め込んでいたタンス預だろうが」
夫が驚愕の顔で慶子を振り返る。
「なんだと? お、あの苦しい期にそんなを隠し持っていたのか」
慶子はセンスで顔を隠し、ずさった。
「違うわよ。あれは私がパートでこつこつ貯めたおで……」
「嘘をつくな」
健の容赦ない言葉が、母親の言い訳を切り裂く。
「おは親父の会社がいずれ倒産すると分かっていた。だから会社の経費をしずつ自分の個座に横流ししていたんだろうが。婚して1で逃げるための資としてな」
健が暴した族の。
それは、世体を何より気にするこのが、内側では完全に腐り切っていたという事実だった。
その、披宴会のな扉がゆっくりと側からかれた。
軋む音が静まり返った部に響く。
そこにっていたのは、くたびれたスーツを着た初老の男性だった。
その顔を見た瞬、夫と慶子は幽霊でも見たようにい鳴をげた。
「や、田さん……どうしてここに……」
田さん。
彼は夫の会社で経理を担当していた男性だった。
数週、突然会社を辞め、方になっていた物である。
田さんは青ざめた顔で、震える健たちを見つめ、くため息をついた。
そのには分い黒いファイルと、茶い袋が握られていた。