"赤い口紅と信託離婚" 第3話
曜の朝。
のり子がシャワーを浴びている、スマホが卓に置き忘れられていた。画面は伏せられている。
度、くった。
反射に浮かんだ表示を、俺は界の端で捉えた。
「岡崎拓也さんから着メッセージ」
T君ではなかった。
フルネームだった。
俺は自分のスマホを取りし、SNSで岡崎拓也を検索した。学名とゼミ名を組みわせると、1の男が浮かびがった。
60歳。
建設営業部代理。
プロフィール欄には、のり子の卒業学とゼミ名が記されていた。
週末の投稿には、同窓会らしい集写真があった。
だが、そのにのり子はいなかった。
さらにスクロールすると、別の投稿がてきた。
同じの夜。
「友とのディナー」
級レストランらしき内。央にのり子が写っていた。
投稿刻は曜20。
のり子の同窓会は14始のはずだった。
俺は画面を保した。
さらに岡崎の投稿を遡る。
半以から、50代半から60代半の女性との2ショット写真が定期に並んでいた。
「昔からの友と再会」
「懐かしい仲と」
「同世代の友との語らい」
相の女性は毎回違う。
だが、文章の型は同じだった。
経理の仕事で伝票を見続けてきた俺には、定型業務の匂いが分かった。
岡崎拓也という男の輪郭は、もう見え始めていた。
翌週の曜、俺はを取った。
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青信託の法営業部を訪ねた。現役代、雫商事の取引先として何度か入りしたことがある所だった。
受付で個名を告げると、防音扉のついたさな応接に案内された。
数分、瀬良祐さんが現れた。
50代半ば。きっちり結んだネクタイと、縁の細い鏡。現役代に取引類で何度もやり取りした相だった。
「川様、お久しぶりです。本はどのようなご相談でしょうか」
俺はソファに腰をろし、ゆっくりをいた。
「族信託と遺言信託について、詳しく教えていただきたいんです。具体には退職を信託財産として委託し、受益者を私1に指定した、どういう効力がじるのか」
瀬良さんの鏡の奥で、瞳が瞬だけいた。
「ご相談内容は守秘義務の対象です。ごください。まずは現状を理させてください」
俺は1かけて背景を説した。
のり子の名はさず、「配偶者」とだけ呼んだ。
スマホの伏せ置き。
同窓会の装。
SNSで見つけた岡崎拓也。
共通座の審な。
の変化。
夜の通音。
を交えず、付と事実だけを並べた。
瀬良さんは黙って聞き、メモを取り続けた。
話し終えると、彼は鉛を置いた。
「確認させてください。ご相談の目は、退職を配偶者が引きせない状態にすることでよろしいですね」
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「はい。それが1つ。もう1つ、婚を提とした財産分与の準備も野に入れています」
瀬良さんは資料をき、族信託の仕組みを説した。
委託者は川週郎。
受託者は青信託。
受益者は川週郎の単独指定。
信託財産は退職2200万円と預の部500万円、計2700万円。
婚調の成までは、受益者以の物が引きすことは完全に能。
「奥様がにお越しになっても、窓では『受益者はご主様のみです』とお伝えすることになります」
俺は資料を1枚ずつ確認した。
契約締結まで標準で3週。退職まではまだ余裕がある。
「めてください。ただし、すべて私と瀬良さんのだけでめてください」
「承しました」
応接をる、瀬良さんは玄関先まで見送ってくれた。
議なほど、は静かだった。
事実を積みげるほど、判断はからざかる。
数字が並べば並ぶほど、選択肢は減っていく。
40の経理でにつけた覚が、今、自分のに適用されていた。
曜、のり子に誘われてデパートへかけた。
「具をし見たいの。クッションカバーが古くなってきたから」
そう言っていたはずなのに、のり子はクッション売りを素通りし、ソファの展示エリアへ向かった。
「ねえ、週郎。退職のことだけど」
俺は展示品のレザーソファに腰をろし、顔をげた。
「結構な額になるでしょう。私ね、最ちょっと考えていたの」
「うん」
「退職で別っていうのも、悪くないとわない?」
のり子はるい声で続けた。