"蜂蜜先生の救命列車" 第5話
が回復したら、本とも話さなければならない。
今このを乗り越えても、考え方が変わらなければ、また同じことが起きる。
血糖は、単なるダイエットの弊害ではない。
命に関わる危なのだ。
俺たちは列へ戻った。
内はドアがいた分だけし空気が通っていたが、乗客たちは疲れきった様子だった。
恵は内に入ると、きくをげた。
「とりあえず、の状態は定しました。蜂蜜先のおかげです。あとは救急が到着次第、病院で治療を受けることになります」
その瞬、内から声ががった。
「蜂蜜先、よくやった!」
「俺もさっきは苛ついて申し訳なかった」
「蜂蜜先がいなかったら、ちゃんはどうなっていたことか」
「私の蜂蜜が役にったのも、何かのご縁ね」
老婦が穏やかに笑った。
俺は照れくさくなり、をかいた。
名乗る必もないまま、このでは俺は「蜂蜜先」になってしまった。
俺は乗客たちを見回した。
「皆さんも、々ホームにてストレッチをしてください。呼吸も事です。分も適度に取ってください。できれば経補液を選んでください。あまり美しくはないですけどね」
すると、さっきまで満を言っていた男がちがった。
「じゃあ俺が数分買ってくる。みんな120円ずつしてくれ」
内の空気がし変わった。
広告
誰かが銭を集める。
誰かが老婦に席を譲る。
誰かがホームにて駅員を伝う。
ととは助けってきていく。
匠が昔言っていた言葉が、胸の奥で静かによみがえった。
俺は再び駅員休憩へ向かった。
の状態が定していて、母娘がく話しているようなら、静かに席をすつもりだった。
だが休憩のにづいた、青い顔をした恵がびしてきた。
「蜂蜜先、これ……のリュックから落ちたんです」
恵が差ししたのは、1冊のノートだった。
表には、体・タイム管理ノートとかれていた。
「分、これがが血糖に陥った原因だといます」
俺は恵に確認を取り、ノートをいた。
そこには毎の体と、そのに陸部で記録したタイムが細かくかれていた。
100m。
12秒台。
体。
カロリー。
さらに、赤いペンでこうかれていた。
あと3kg。
俺はノートを閉じた。
恵の顔は青ざめていた。
「運を始めた頃は、ただるのが楽しいって、毎楽しそうに学へっていたんです」
恵は震える声で話し始めた。
「コーチの指導で成績もがっていきました。それが、いけなかったんです」
「どういうことですか」
「まず、理が止まってしまいました。ちくらみもひどくて、ので倒れたこともあります。やがて笑顔が消えていきました。数字だけを追いかけ始めたんです」
広告
数字。
俺はノートをもう度見た。
カロリー計算。
体の増減。
タイム。
べなければ、数字はすぐに変わる。
るが縮めば、努力が結果として見える。
「悪循環ですね」
俺がそう言うと、恵はしい調で続けた。
「あの子は、数字に魅されていただけじゃありません」
恵は唇を噛んだ。
「実は、受験はまだし先なんです。でも、陸のスポーツ推薦で学費を浮かせようと考えていたようなんです」
「つまり、計がしでも楽になるように」
「はい。私に内緒で事を削っていたんです」
その、休憩のドアがいた。
駅員が顔をした。
「識がしっかり戻ったようです。そばにいてあげてください」
「すぐきます」
俺たちは急いでへ入った。
ソファに寝たままのが、こちらを見ていた。さっきより顔は戻っている。目にも力があった。
「お母さん……配かけてごめんなさい」
恵はすぐに駆け寄り、のを握った。
「……」
俺は恵のろにち、2を見守った。
は々しく笑った。
「お母さんに負担をかけたくなかったの。痩せればくれる。くれれば、奨学とか推薦で楽になるかもしれないってって……」
「そんなこと言わないで」
恵はのを握りしめた。
「2きりの族じゃないの。あなたが倒れたら、私はどうしたらいいの」
俺は静かにのそばへづいた。
「ちゃん」
が俺を見た。
「君の体こそ、お母さんを守る番の力だ。まず自分を切にしよう」
はし照れたように笑い、さくうなずいた。