"消えた退院前夜" 第8話
田では、常がしずつ戻ってきていた。
誠さんは毎会社にくようになった。恵子さんは就職活を再し、ある企業から内定をもらった。久志さんは学の授業に真面目にるようになった。
しかし3とも、ので子さんのことを忘れることはできなかった。
リビングには子さんの写真が飾られていた。毎朝、誠さんはその写真に向かって「おはよう」と声をかけてからをる。それが課になっていた。
115、静岡央病院では度末に向けた定期監査の準備が始まっていた。
監査は毎この期にわれるもので、病院の運営状況、会計、薬品管理、カルテの管理、全てがチェックされる。
薬剤課では、黒田職員が薬品の庫リストを作成していた。棚に並ぶ薬品を1つずつ確認し、名、数量、使用期限をノートに記録していく。
作業は慣れたものだった。黒田職員は15もこの病院で働いており、薬剤課のでは誰よりも庫管理に詳しいと言われていた。
しかし作業をめるうちに、そのが止まった。
ある薬品の数がわなかった。
記録では100錠あるはずだった。しかし実際に数えると70錠しかない。
30錠、りない。
「おかしいわ」
黒田職員はもう1度数え直した。けれど結果は同じだった。
その薬品は力な眠導入剤だった。医療用の処方箋が必な薬で、簡単にに入るものではない。
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黒田職員は使用記録を確認した。その薬は術の患者などに使われることがい。記録を見ると、最に使用されたのはの12だった。それ以の使用記録はない。
では、なぜ30錠も減っているのか。
黒田職員の表がくなった。
しかしすぐに気を取り直すように、ノートを閉じた。
「きっと記録ミスだわ」
そううことにした。
薬品の管理は黒田職員自が担当していた。もし正があったとすれば、それは自分の責任になる。黒田職員は記録を修正しようとした。
その、事務職員が薬剤課に入ってきた。
「黒田さん、監査の準備はんでいますか?」
「はい、順調です」
黒田職員は笑顔で答えた。
「ではリストを見せてください」
事務職員はそう言った。
黒田職員は瞬だけを止めたが、仕方なくリストを渡した。事務職員はそれを見て、眉をひそめた。
「この眠導入剤、数がいませんね」
「ええ、それは……記録ミスかもしれません」
黒田職員は必に言った。
しかし事務職員は首を横に振った。
「使用記録と照らしわせてください」
黒田職員は使用記録を持ってきた。事務職員は慎に確認し、表を曇らせた。
「12以使用していないのに、30錠減っている。これはおかしいですね」
「記録ミスです。たぶん」
「調べなければなりません」
事務へ報告ががり、さらに病院へ伝えられた。
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薬品の正管理は病院の信用に関わるな問題だった。病院は刻な顔で言った。
「すぐに調査を始めてください」
事務はの職員を集め、薬品の全数調査をうことにした。
その過程で、別の異変が見つかった。
カルテで古いカルテを理していた事務職員が、1冊のカルテに気づいた。
田子さんのカルテだった。
事務職員は何気なくそのカルテをいた。19915の記録をめくり、ふとを止めた。
投薬記録の欄に、修正の跡があった。
修正液で消された部分が何か所かある。から別の文字がかれているが、自然にく浮いていた。
「おかしいな」
事務職員はカルテを窓際へ持っていき、にかざした。
うっすらと元の文字が見えた。
527の欄だった。
消された文字は、薬品の名だった。
眠導入剤。
そして、その量は通常の3倍だった。
事務職員は顔を変え、すぐに事務へ報告した。
事務はカルテを見て、言葉を失った。
「これは……」
事務はすぐに病院の部へ向かった。病院はカルテを確認し、い声で言った。
「警察に連絡してください」
116。
黒田警部補のもとに、病院から連絡が入った。
「田子さんのカルテに、審な点が見つかりました」
その言葉を聞いた瞬、黒田警部補の背筋が凍った。
8か、何のがかりもなかった事件に、突然が差した。
黒田警部補はすぐに病院へ向かった。田刑事も同した。