"十五年の我慢、裏切った家族に裁きを" 第26話
モニターを確認すると、そこには髪を振り乱し、すっかり正気を失った咲夜の姿があった。私は静かにドアをけ、チェーンをかけたまま隙から彼女を見た。
「どうやってここをったの?」私が尋ねると、咲夜は泣き腫らした目で私を見げ、震える声で答えた。
「弁護士の事務所のでずっと待ってたの。ママの居所を教えてもらいたくて。お願いママ、私を助けて。」
咲夜はドアの隙から細いを差し入れ、私のの裾を掴もうとした。私は歩ろにがり、そのをたく拒んだ。
「パパが逮捕されたの。おばあちゃんはショックで倒れて病院に運ばれたわ。には借取りから話がかかってくるし、私どうしていいかわからないの……」
「そう、それは変ね。」私がを込めずにそう答えると、咲夜は絶望したように顔を歪めた。
「ママ、お願いだから私を見捨てないで。私これからどうやってきていけばいいの?私、ママの本当の娘じゃなかったとしても、緒に暮らしてきたじゃない。」
咲夜の叫び声が廊に響き渡る。緒に暮らしてきた。その言葉を彼女のから聞くのはこれが初めてだった。しかしその言葉が私のに響くことはもうなかった。
「そうね、緒に暮らしてきたわ。でもあなたは私を度も母親として見てくれなかった。
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あなたにとって私は都の良い政婦であり、パパからを引きすための具でしかなかったのよ。」
「違う、私本当はもう……」
「遅いわ。」私は彼女の言葉をたく遮った。「パパが美をに連れてきた、あなたは私を追いすことに賛成し、笑っていたわね。あなたが自分の欲望のために私を切り捨てたように、私も今あなたを切り捨てる。それだけの話。」
私の突き放した態度に咲夜は声をさずに泣き崩れた。彼女は今、自分のしたことのさと取り返しのつかない過ちに気づいたのだろう。しかし悔するにはあまりにも遅すぎたのだ。
「弁護士には伝えてあるけれど、今付けであなたとの養育親子関係解消届が受理されました。これで私たちは法に完全に赤の。度と私のに姿を見せないで。」
私はそう言い放ち、咲夜がすがりつこうとするのを徹に無してゆっくりとドアを閉めた。ガチャリとチェーンをかける音が、私と彼女の繋がりを永に断ち切る音だった。
ドアの向こうから咲夜の泣き叫ぶ声がしばらく聞こえていた。しかし私はもう振り返ることはなかった。彼らの獄は彼ら自が作りしたものだ。私がを差し伸べる義務も、同する理由もどこにもないのだ。
私は部に戻り、テーブルののマグカップをに取った。
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コーヒーはすっかりめていたが、そのはぶりにわうような、自由で清々しいがした。はしいパートの面接が入っている。履歴にかれた佐藤ゆみという文字は、もう誰の付属品でもない、私自の名だ。私のしいが今、静かに始まろうとしていた。
あのから半というが流れた。の気配が濃くなってきたの朝。私はしく借りたルームのさなアパートで静かに目を覚ました。窓のカーテンをけると、たく澄んだの空気がけ放たれた換気からわずかに流れ込んでくる。の空がしずつみ始め、しいが始まる気配がを包み込んでいた。
私はキッチンにち、自分のためだけにコーヒー豆を挽く。、私の朝は常にのためのものだった。健の濃い緑茶を入れ、咲夜のために栄養バランスを考えた弁当を作り、義母の突然の来訪に備えてを磨きげる。自分のみたいものを自分の好きなタイミングでむ、というささやかな自由すら、あのにはしなかった。
しかし今は違う。部に広がるばしいコーヒーの匂いをく吸い込みながら、私は静かに微笑んだ。誰の音に怯えることもなく、誰のたい言葉に傷つくこともない。このさく質素な部には、私が私らしくいられる穏やかで絶対な平がしていた。
先、弁護士から全ての法続きが完したという最終報告を受けた。