"雪夜の妻" 第12話
「うるさい、静かにしろ」と鳴られ、いつも部の隅でさくなっていた娘が、今はこんなにも無邪気に笑っているのです。
これこそが、私が取り戻したかった本当の幸せでした。
彼らに奪われたは戻りません。
しかし、これからの未来は私が全て守ってみせます。
同じ頃、健の会社ではきな騒ぎが起きていました。
から融資を断られた健は、狂ったようにあちこちの融関へ話をかけていたそうです。
しかし、グループが見放し、正の噂がち始めた会社におを貸してくれるはありません。
「どうしてだ。うちの会社は業績好調のはずだろう。誰か何とかしろ!」
健は社で鳴り散らしていましたが、社員たちはややかな目で彼を見ていたそうです。
私は自分のスマートフォンから田さんに話をかけました。
「田さん、今まで本当にありがとうございました。証拠は全て揃いました」
「由美様、お力になれてよかったです」
話の向こうの田さんの声はし疲れていましたが、どこかほっとしていました。
「もうあの会社にいる必はありません。危険です。からグループの内部で働いていただけませんか。あなたの誠実さは、私たちに必なものです」
私がそう提案すると、田さんは話の向こうで息を呑みました。
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「由美様……ありがとうございます。んでお受けいたします」
「それでは、今すぐ辞表をして会社をてください。今の続きはこちらでめます」
その数分、田さんは健のいる社に静かに入っていきました。
「なんだ、お。暇ならしい融資先を探してこい」
健が鳴る、田さんは1枚の封筒を机のに置きました。
「本付けで退職させていただきます」
「はあ? ふざけるな。こんな忙しいに、おまで俺を裏切るのか」
健は顔を真っ赤にしてちがりましたが、田さんは静でした。
「裏切ったのは社の方です。取引先を騙し、奥様を裏切り、会社を私物化してきた。私はもう、あなたにはついていけません」
田さんはそれだけ言うと、健が止めるのも聞かず静かに部をていきました。
会社のおの流れを全て把握していた田さんがいなくなったことで、健の会社は完全に能止に陥りました。
誰も与計算も、取引先への支払い続きもできなくなったのです。
健は誰もいない社で1取り残されました。
机のには、支払い期限の過ぎた請求のが残されています。
もう彼を助けてくれるは、この会社のどこにもいませんでした。
夕方になり、追い詰められた健はついに会社をびしました。
彼が向かったのは、である美穂のむ級マンションです。
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何度話をかけてもない美穂に直接会いにき、5000万円の資を頼み込むためでした。
「美穂の親がをしてくれれば、まだやり直せる。あいつは俺をしているんだから、助けてくれるはずだ」
健はそう信じて、マンションのインターホンを何度も押したはずです。
しかし、いくら待っても返事はありません。
焦った健は、マンションの管理に頼み込みました。
「婚約者と連絡が取れない。倒れているかもしれない」
そう嘘をついて、部の鍵をけさせたのです。
しかしドアをけた先には、彼がまったく予していなかった景が広がっていました。
甘いと見栄えの良い級具で満たされていたはずの部には、何1つ残されていませんでした。
カーテンすら取りされ、たいフローリングが剥きしになっています。
部の隅にゴミ袋がいくつか転がっているだけでした。
「美穂……おい、どこにいるんだ?」
健はのまま部にがり込み、クローゼットや浴を次々とけました。
しかし、そこには誰もいません。
美穂が自していたブランド品の数々も、きな宝箱も、全て綺麗に消えっていました。
健は震えるで、部の央に落ちていた1枚の切れを拾いげました。
それは真っ赤な文字で「最終督促」とかれた、消費者融からのはがきでした。
宛名は美穂の本名。
請求額は、健が彼女の父親から引きそうとしていた資とは比べ物にならないほど惨な額でした。
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