みかん小説
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"支えを手放す日" 第16話

とにかく美奈を探さなければ。彼女の元にすがりついてでも、座をしてでもいい。当面の交通費と活費だけでも引きさなければ、自分は本当にこの空港から歩もられないのだ。

どこだ?広い空港を、うつろな目で探し回る。ハワイの太陽で焼けた顔はに変わり、嫌な汗でシャツが張り付いている。すれ違う々が異様な雰囲気を放つ孝志を避けるようにしてけた。

到着ロビーから発ロビー、そしてレストランへ向かう通。ここを半分ほどんだ、孝志の目に見覚えのあるグレーのスーツ姿がび込んできた。

美奈、美奈だ。そしてその隣には娘の彩佳の姿もある。はこれから空港のへ向かうタクシー乗りの方へと歩いていた。その取りは驚くほど軽く、楽しげに言葉を交わしているのがくからでもはっきり分かった。

「待ってくれ、美奈!」

孝志はいスーツケースを放りし、体裁を構わずの背を追いかけた。きな声に驚いて周囲の旅客がち止まる。美奈と彩佳もその声に気づいてを止めた。

「パパ。」

振り返った彩佳の顔には、もう隠すことのない嫌悪が浮かんでいた。

息を切らし、肩で息をしながら孝志はちふさがった。

「はあ、はあ…… 待って、待ってくれ。」

「まだ何かようですか?」

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美奈はひどく落ち着いた声で尋ねた。その声にはりもれみすらもない。ただ端のころを見るような無関な響きがあった。

孝志はそんな彼女のたい線に耐えきれず、わず両膝をについた。空港のど真んで、歳の男が元妻に向かって座をした。

「俺が悪かった。俺が全部バカだった。調子に乗ってた。おに苦労をかけてるのも分かってたのに、見ないふりをしてたんだ。だから許してくれとは言わない。でも……」

孝志はに額を擦りつけるようにして叫んだ。

「せめて今だけでも助けてくれ。体裁なんてもう何もない。今寝る所もなく、元におもない。会社にけば倫と借がバレており、実からの信頼も失った。もう美奈にすがる以、俺がき延びるは残されていなかったのだ。頼む、このままじゃ俺は本当にきていけない。おへの慰謝料だって払えないぞ。だからしだけ、しだけでいいからおを恵んでくれ。」

孝志の言葉を美奈は静かに見ろしていた。

かつてはこの男が困っていれば無条件でを差し伸べていた。彼の面を保てるよう、自分が裏で必をかぶってきた。しかし、今の美奈のには、滴の同たなかった。

「支援はもう終わりです。」

美奈の言葉はく、そして絶対だった。

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そのあまりにも酷な響きに孝志はゆっくりと顔をげた。額には汗がべったりと張り付き、目は絶望で見かれている。

「そんなにたい女だったのか。緒にいたんだぞ。俺のがどうなってもいいっていうのか。おはそんな、涙もないたい女だったのか。」

周囲は完全に静まり返っていた。誰もが息をんで、この元夫婦の最のやり取りを見守っている。彩佳は孝志のあまりのけなさに目を背けた。

美奈はしだけ目を伏せた。そして次に顔をげた、彼女の瞳はどこまでも透き通っていた。

「違います。」

美奈が静かに否定した。その声は議なほど穏やかで、優しくすら聞こえた。

空港のざわめきがくなり、だけが止まったかのような静寂が落ちた。美奈はゆっくりと最撃を放った。

「あなたの笑顔も自由も、句、私の善に成りっていただけです。」

孝志は言葉を失った。何も言えなかった。自分がどれほど能で、どれほど価値のあるだとい込んでいたか。を連れてハワイにき、「これからは自由だ」と図に乗ったあの瞬、それら全てが目のにいる、自分がつまらないな女と見していた元妻の、たったつの善によって作られたに過ぎなかったのだ。

美奈が酷なのではない。

彼女が与え続けてきた善を、ただ引っ込めただけ。それだけで彼のは音をてて崩壊し、跡形もなく消えってしまったのだ。

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