"支えを手放す日" 第12話
それは、自分のでったことのない男のれな魂の叫びだった。
美奈はそのれな男を見ろした。りもしみも同調もそこにはない。ただ抱えてきたい荷物をようやくろすことができたという静かならぎだけがあった。
「どうすればいいかですか?」
美奈はしだけ首を傾げ、ゆっくりと言った。
「それはご自で考えてください。あなたはもう自由なのですから。」
その言葉は孝志が数分に放った言葉と全く同じだった。しかしは完全に逆転していた。孝志にとっての自由は、全てを失った孤独でしかなかったのだ。
美奈はゆっくりと背を向けた。
「さようなら、孝志さん。」
振り返ることなく美奈は歩きした。その背はどこまでも凛として、まっすぐだった。
孝志はざかっていく元妻のろ姿をただ見つめることしかできなかった。彼が自分の力で歩きすには、あまりにもくのものを失いすぎていた。
到着ロビーに誰かが落としたスーツケースの輪の音が空気に響き渡っていた。美奈の背はき交う々の波に紛れ、完全に見えなくなった。
孝志はたいに座ったまま、その景をぼんやりと見つめていた。のが真っになり、何からをつければいいのか全くわからない。
「お客様、丈夫ですか?こんなところに座り込まれては困ります。
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」
に空港の警備員から声をかけられた。
見げると、困惑そうな顔をした制姿の男性がこちらを見ろしている。周囲の旅客たちも、まるでれな迷子でも見るような目で孝志を避けて通っていく。
「ああ……」
もう居所などない。孝志は弾かれたようにちがり、自分のスーツケースの持ちを乱暴に掴んだ。逃げるようにそのをれようとしたが、元がおぼつかない。ハワイで買ったばかりの靴がやけにくじられた。
どうする?これからどうすればいいんだ?この目つ所かられなければならない。
到着ロビーの端にある通りのないベンチに逃げ込み、どさりと腰をろした。のが汗でべったり張り付いた背に、突き刺さるようにたい。喉がひどく乾いていた。
孝志はちがり、くにあった自販売へと向かった。ポケットから銭をかき集める。百円玉がつと円玉が数枚。のひらで数えてみると、全部で百円しかなかった。
番いミネラルウォーターは百円だ。
孝志は苛ちから自販売を軽く蹴りばした。たった円りないだけで、本すら買えない。昨まではホテルのルームサービスで本千円もする級ミネラルウォーターをためらいもなくけていたというのに。
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再びい取りでベンチに戻ると、ポケットのでスマートフォンが震えた。画面を見ると、また「実 母」の文字が表示されている。
たくない。しかし着信音は執拗に鳴り続ける。孝志は周囲の目を気にしながら、観して通話ボタンを押した。
「なんだよ、母さん。」
「なんだよじゃないわよ。さっきの話は何なの?美奈さんが言ってたことは本当なの?」
話の向こうでは母親が興奮して叫んでいた。
「で説するって言っただろ。こっちだって今、変なんだよ。」
「変なのはこっちよ!お父さんショックで寝込んじゃったわよ。所のにはあんたが京で派に世して、毎仕送りしてくれてるって自してたのに。これじゃからどうやって活していけばいいの?」
「だからなんとかするって言ってんだろう。」
孝志はわず声を荒げ、通話を方に切った。
なんとかする。そうでは言ったものの、具体な解決策など何つない。来の料は全てのローンや借の引き落としでマイナスになるのだ。自分の活費すらゼロの状態で、どうやって親に仕送りができるというのか。
そうだ、誰かに借りればいい。料が入るまでのしのだけ、誰かにて替えてもらえば。
孝志はスマートフォンの連絡先をき、会社の同僚である田の名を見つけた。
田とはよくみにく仲だ。輩たちを連れて級なにき、「ここは俺が払うから」
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