みかん小説
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"支えを手放す日" 第11話

画面に表示された名に目を落とし、美奈は静かに画面を操作した。

では直接聞いてみればいいではありませんか。

美奈は通話ボタンを押し、スマートフォンをスピーカーモードにして孝志の目のに差しした。

美奈が差ししたスマートフォンの画面には「彩佳」という文字がっていた。

彩佳 ——。

孝志はすがるような目でその画面を見つめた。娘は自分にとって最の希望だった。

帰りが遅くても、休かけてばかりでも、「お仕事お疲れ様」と笑顔で言ってくれたい娘。彼女ならきっと自分をかばってくれるはずだ。

もしもし。

お母さん?

スピーカーから若い女性のるい声が響いた。

終わった。そっちどうなった?

ええ、終わったわ。今、彼があなたとお話をしたいと言っているの。

美奈がそう言うと、話の向こうでわずかに沈黙が落ちた。

彩佳、パパだ。

孝志はスマートフォンに顔をづけて必に呼びかけた。

彩佳、聞いてくれ。ママがおかしくなっちゃったんだ。パパのカードを全部止めて、からも追いそうとしてるんだよ。彩佳からも言ってやってくれ、こんなのひどすぎるって。

娘がどうしてそんなことするの、自分を責めてくれると信じて疑わなかった。

しかしスピーカーから聞こえてきたのはたく静かな声だった。

「パパ、みっともないからもうやめて。

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ええ。孝志はを疑った。

「お母さんがおかしくなったんじゃないよ。パパがずっとお母さんに甘え続けて、最に裏切ったんでしょ。」

「何を言ってるんだ?パパは裏切ってなんか…… とのハワイ旅、楽しかった?」

彩佳の鋭い言葉に孝志は言葉を失った。

「パパが旅のチケットを予約した、お母さん泣いてたんだよ。声を殺して私のでは普通にしようとしてたけど、私はってる。パパがおじいちゃんたちの仕送りをお母さんに払わせてたことも、パパののローンをお母さんが払ってたことも、全部ね。」

「嘘だ。お、そんなことまでってたのか。」

にもなれば、の空気がおかしいことくらいわかるよ。パパは自分が偉いと勘違いしてただけ。お母さんがどれだけボロボロになりながらパパのプライドを守ってたか、気づきもしなかったんでしょう。」

彩佳の言葉は孝志の胸に鋭く突き刺さった。

「私、お母さんに言ったの。もういいよ、お母さんの好きにしてって。パパみたいなのために、お母さんがこれ以苦労するのは見たくなかったから。」

「彩佳、パパを見捨てるのか。おは昔、パパのことが好きだったよ。」

「昔はね。でも、お母さんをしませるパパはもう嫌い。」

通話は無常にもに切られた。

孝志は呆然とスマートフォンを見つめたままくことができなかった。

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娘は全てをっていた。そして完全に美奈の方についていたのだ。

自分が族だとっていたものはとっくに崩壊し、自分だけがそので踊らされていたに過ぎなかった。

「これで理解していただけましたか?」

美奈はスマートフォンをバッグにしまいながらたく言い放った。

「私があなたを捨てたのではありません。あなたが自ら族を壊したのです。」

孝志はもう何も言い返すことができなかった。

ただにへり込んだまま、自分のが完全に終わったことを悟った。

に逃げられ、を失い、莫な借を抱え、娘にも絶縁された。からの活をどうやって送ればいいのか、全く見当もつかない。

その担当のに持っていた類の束を綺麗に揃え、美奈に向かって礼をした。

「美奈様、これで本予定しておりましたお続きの確認は全て完いたしました。ありがとうございます。」

さん、お数をおかけしました。」

「とんでもございません。また何かございましたらいつでもご連絡ください。」

は孝志には礼もくれず、背を返して歩きっていった。

到着ロビーには孝志と美奈だけが残された。いや、周囲にはまだ巻きに見ている々がいるが、孝志の目にはもはや美奈の姿しか映っていなかった。

「美奈……」

かすれた声で元妻の名を呼んだ。「俺はこれからどうすればいいんだ?」

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