"ロッカー裏の花嫁" 第3話
「阪から京へ荷物を積んで向かっている途でした」
「柄サービスエリアには寄りましたか」
佐々は首を傾げた。
「覚えてないですね」
アリバイは曖昧だった。
しかし、決定な証拠はなかった。目撃者もなく、物証拠もない。彩の財布も見つからない。
さらに、当の技術限界もきかった。
1991、サービスエリアには防犯カメラがほとんどなかった。DNA鑑定も初歩で、微細な痕跡から物を特定することは困難だった。指紋データベースも現ほど備されていなかった。ポケベルの呼びし記録も、定期が過ぎれば消えてしまう。
警察は周辺のを捜索し、くのモーテルや旅館も調べた。方者のチラシを配り、報提供を呼びかけた。
だが、何もてこなかった。
199111。6かに及ぶ捜査の末、事件は未解決として扱われることになった。
本刑事は報告にこういた。
「現の技術では、これ以捜査をめる方法がない」
しかし、その点で誰もらなかった。
犯は、被害者の過のに隠れていた。
そして証拠は、柄サービスエリアのロッカーの裏に、静かに眠っていた。
1991から2001まで、10のが流れた。
夫の佐藤匠は、妻を諦めなかった。
毎第1曜になると、柄サービスエリアを訪れた。彩の写真が入ったチラシを持ち、休憩に来た々に声をかけた。
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「このを見たことはありませんか」
何度も同じ質問をし、何度も首を横に振られた。
19925、匠はNHKの探し番組にも演した。
「妻の鈴彩を探しています。どうか、どこにいるのか教えてください」
番組、報提供は何件か寄せられた。けれど、どれも別だった。
1993には、匠は私探偵を雇った。費用は30万円。当の彼の1か分を超える額だった。それでも、がかりは何も見つからなかった。
1994、匠の両親は再婚を勧めた。
「匠、もう忘れなさい。おのもきなきゃ」
匠は静かに首を横に振った。
「彩は必ず戻ってきます」
だが、は残酷だった。
199711、バブル崩壊の況が匠の会社を直撃した。匠もリストラされ、退職として300万円を受け取った。再就職は簡単ではなく、彼は目黒でさなラーメンを始めた。
は10坪ほどのさな空だった。匠は毎、夜11まで働いた。の隅には、彩の写真をそっと飾っていた。
2000、世界はしいミレニアムを迎えた。
匠は36歳になっていた。
20015、両親からの再婚の勧めはさらにくなった。
「匠、もう本当にやめなさい。10が過ぎたんだよ」
い沈黙の末、匠はついに首を縦に振った。
20019、匠はラーメンの常連客だった吉田美と再婚した。彼女は学の教師だった。結婚式は挙げず、親しいだけの事会で済ませた。
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しかし匠ののには、依然として最初の妻がいた。
そして、まさにその、柄サービスエリアで規模な改装事が始まった。
老朽化した建物、特に1階の売エリアは、完全に解体されることになっていた。
2001915、作業員たちが古いロッカーを壁からしていた。清掃員の渡辺が、かされていなかった所を掃除していた。
「うわ、ここ、埃がすごいな」
ロッカーが壁からされると、その裏側に10度も掃除されなかった空が現れた。埃がく積もり、空気がくった。
渡辺はほうきで埃を掃きそうとした。
そのだった。
壁とロッカーの、わずか10cmほどの隙に、何かが挟まっていた。
「あれ、何だろう」
渡辺はを伸ばし、それを取りした。
埃まみれの茶い革の財布だった。
をけると、現も分証も入っていなかった。ただ、1枚のカードが残っていた。
世田区の薬局が発した常連客カード。
そこには、名がかれていた。
鈴彩。
渡辺はすぐに管理事務所へ向かった。管理所の林は財布を受け取り、名を見た瞬、表を変えた。
「ちょっと待て。この名……どこかで聞いたことがある」
林は古い類を探した。
そして見つけた。
1991511、方者届の記録。
「これだ。10、ここで失踪しただ」
林は直ちに警察へ通報した。
10ぶりに戻ってきた証拠。
埃まみれの財布は、止まっていた事件のを、再びかし始めた。
20024、静岡県警に未解決事件の専従班が結成された。
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