"隠された十五年の物語" 第6話
記録は今でも警察署の倉庫に残っている。
だがその資料のに、岸本という名はつもてこないのだ。
岸本、静。この名ではまれてからずっときてきたのだろうか。
翌朝、宅はく警察署の民記録紹介窓へ向かい、歳の輩刑事・を呼んだ。
でかけて古い類を枚ずつめくっていった。
「先輩、これ、ちょっと変ですよ」
昼、が枚の民票の写しから顔をげた。
「どうした?」
「岸本さんの民票、この町に転入したのは平成になってます」
「ああ、それはってる」
「ところが、ここに記載されたの所が隣のの、今は取り壊された借になってるんです」
「ほう」
「で、その役所の民票を辿ろうとすると、なぜか平成に転入といてあるんです」
宅はの指差す類を覗き込んだ。
平成に隣のの借に転入。
そのヶにこちらの町へ転入。
あまりにも隔がすぎる。
「それに、隣の借に来るの所が切ですね」
「そうなんです」
は顔を見わせた。
普通に暮らしているなら、こんな記載にはまずならない。
何らかの図を持って民票の移を複雑にし、それ以の取りを辿りにくくしていると見るのが自然だった。
記録については事務所に問いわせをかけている。
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古いき記録はコンピュータに登録されていないものもく、しがかかるとのことだ。
「戸籍謄本はどうだ?」
「戸籍も平成で度切り替わっているらしいです」
「切り替わっている……」
宅はしばらく窓のを眺めた。
青い空の、々の葉はすっかりを落としていた。
彼のので、つの能性がゆっくりと形をなしつつあった。
「」
「はい」
「岸本のは、平成に名字を変えた能性がある」
「名字を変えたですか?」
「うむ。夫婦どちらかの実の戸籍に戻した、あるいは養子縁組といった事か。それとにかく、平成よりの取りを何としても辿りたい。記録と各役所の戸籍原本、両方から辿れるところまで追ってみてくれ」
「解しました」
それから週、宅とはほとんど毎夜遅くまで警察署に残り、古い類と格闘した。
最初のがかりはわぬ所からてきた。
事務所の古いき台帳に、昭末期頃の所記録が残っていた。
台帳にはっきりとした跡で「岸本」とかれていたのだ。
所は隣のの、今はもうしない古い借だった。
「先輩、ました」
が台帳のコピーを宅の机のに置いた。
「岸本……」
宅はその名をので度繰り返した。
その瞬、胸の奥で何かたく芯に落ちる音がした。
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岸本という名字に覚えがあった。
平成、あの捜査期、捜査本部の壁に貼られた被害者崎美の親族関係図。
そのに確かに母方の親類として岸本の名が記載されていたはずだった。
宅はその夜すぐに倉庫へりた。
倉庫奥、ずらりと並んだスチール棚の番段。
「平成 崎美失踪事件」と背表にかれたのファイルが何冊も詰まっている。
宅は袋をはめ、そのから被害者族関係を記録した冊を抜きした。
聞き取りメモが束になって綴じられていた。
何枚かめくると、果たしてそこに岸本の名があった。
岸本、当歳。被害者崎美の母の姉の夫。
岸本静、同齢。被害者崎美の母・崎俊子の実姉。
宅はそのページのでしばらくけなかった。
岸本静は被害者崎美の母方の叔母だった。
血の繋がった叔母だった。
メモは続いていた。
岸本夫婦には実子がなく、被害者の美を実の娘のようにがっていた。
休にはよく岸本宅に泊まりに来ていた。
事件当、美は学から帰った、岸本夫婦ので夕を取ってから自宅へ戻り、その塾へ向かう途で方になった模様。
宅は文字を文字文字ゆっくりと読み通していった。
事件当、あの女は塾へ向かうに叔母ので夕飯をべていた。
それは宅もはっきりと覚えている事実だった。
捜査会議で司が何度も繰り返していた話だ。
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