みかん小説
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"双子の消えた春" 第7話

捜査本部には連捜査員たちが詰めていましたけれども、しいがかりは向にてきません。聞き込みをしても同じ答えが返ってくるばかり。捜査は歩もまなくなっていました。

が過ぎ、まる頃、ついに捜査本部は縮されることになりました。世のでは次々としい事件が起こります。限られたをいつまでも件の事件に割いておくわけにはいかない。それが組織というものの、たくも避けがたい現実でした。

が決まった、笠原刑事は両親の元を訪れ、々とげました。

「申し訳ありません。必ず見つけるとお約束したのに」

その声は震えていました。あれほど自信に満ちていた笠原刑事が、両親ので肩を落としていました。

子さんは何も言えませんでした。ただ首を横に振り、笠原刑事の方こそこれまで本気で探してくれてありがとう、というようにげ返すのが精いっぱいでした。

信夫さんは相変わらず黙ったままでしたけれども、そのは膝のく握りしめられていました。爪がのひらにい込むほどく、まるで何かを必にこらえているかのように。

その信夫さんの胸のうちに体何があったのか、なぜあの喫茶の問いに瞬顔を曇らせたのか、それをるものはこのまだ誰もいませんでした。

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こうして野の双子の失踪事件は、これといったがかりをつも残さぬまま捜査のからするりとこぼれ落ちていきました。事件は未解決のまま、々の記憶のしずつしずつあせていき、い眠りにつくことになったのです。

謎の男の正体も、父・信夫さんが密かに胸の奥に隠したものも、全てはの向こうに閉ざされたまま、が流れ始めました。

というものは、しみにはお構いなく、ただ静かに流れていくものです。双子の失踪からつまたつと季節が巡っていきました。桜が咲いては散り、が張られては稲が実り、葉してはに覆われる。その繰り返しのが過ぎ、が過ぎ、やがてものが流れていきました。

世のはそのにすっかり様変わりしていました。の誰のにもさな携帯話が握られるようになりました。には型のテレビが並ぶようになりました。あの古い商しずつを閉めるが増えていきました。を締め、シャッターはりたまま度とがらなくなりました。豆腐のラッパの音もいつのにか聞こえなくなっていました。

それでも野ののあの町はなおそこにありました。川は変わらず流れ、には桜が咲き、田畑では配の々が変わらずを耕していました。

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そして町れのあの古い階建て団には、信夫さんと子さんの夫婦が今もきりで暮らしていました。

夫婦はあの町をれませんでした。へ移ろうという話も何度かました。あの団には双子のがあまりにも濃く染みついています。ここにいる限りしみがれることはない、そう言って引っ越しを勧めてくれるもいましたけれども、夫婦は首を横に振りました。

「もしもあの子たちがひょっこり帰ってきたがなくなっていたらどうします?」子さんはいつもそう言いました。

例えが経ってもが経っても、いつかふらりとあの子たちが帰ってくるかもしれない。その迷わず帰って来られるように、このをこの所を変わらずに守っていなければ。それが夫婦がこの町をれなかった、たったつの理由でした。

をすっかり老けさせていました。信夫さんの黒かった髪はいつのにか真っになっていました。子さんの背し丸くなり、目元にはいシワが刻まれていましたけれども、が決して欠かさないことがつだけありました。

それは毎が来る度に、卓に双子の分のつの茶碗を並べることでした。あの子たちがいつ帰ってきてもいいように、あの子たちの席をいつも空けておくように。

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