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"双子の消えた春" 第2話

礼儀正しくるくて誰からも好かれる兄弟でした。

信さんとこの双子は本当によくできた子だね」それが町の々の癖のようなものでした。父の信夫さんはそうした言葉を聞いても表ってぶようなではありません。ただ晩酌のにほんのしだけ元を緩める。それが信夫さんなりの番の幸せの表し方だったのです。

母の子さんはもっと素直でした。「うちのは私の宝物なんですよ」そう言って所のにお茶をしながら何度も頷くのでした。

やがて双子はを卒業するを迎えます。が揃って京の名稲田学を受験すると聞いた、町の々は驚きました。このさな町からそんなきな学へ。しかも双子揃って、そんなことが本当にあるのだろうかと。けれどもそのは揃って格したのです。

らせが届いたのことを町の々はまで覚えていました。子さんが格通の封筒を握りしめたまま廊してきて、「受かった、受かったよ、とも格したんですよ」と声を震わせて叫んだそうです。隣ののおばあさんがもらい泣きをし、向かいのが拍をし、いつのにか商が集まってきて、ちょっとしたお祭り騒ぎになりました。

その晩、めったに酒をまない信夫さんが珍しく顔を赤くしてぽつりとこう言ったといいます。

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「おたち、よう頑張ったな」たったそれだけの言葉でしたけれども、双子はその言葉を涯忘れないだろうといました。無な父が自分たちのために絞りしてくれた精杯の言葉だったからです。

こうしての終わり、双子は野の町をにして京へと旅っていきました。見送りには商たちまでが駅に集まりました。「都会にっても体にだけは気をつけるんだよ。困ったことがあったらすぐ帰ってきな」々にそう声をかけられて、双子は何度もげました。

母の子さんはホームでハンカチを目に当てています。父の信夫さんはいつものように黙ったまま、けれどもすそのまでじっとの顔を見つめていました。が見えなくなるまで信夫さんはすりにを置いたままきませんでした。子さんが「もうきましたよ」と声をかけても、しばらくはそのまま線の先を見つめていたそうです。

京で双子は同じ町に部を借りました。学から田馬という町の古い造の宿です。階にのおばあさんがみ、階の細い廊に沿って複数の部がいくつも並んでいました。共同のと共同の呂、決して派な建物ではありませんでしたが、賃がく真面目な学いというので信夫さんがをかけて選んだ宿でした。

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双子は隣りったを借りました。「壁がいから夜したらすぐ隣に丸聞こえだよ」のおばあさんが笑いながらそう言うと、也と達也は顔を見わせて「気をつけます」と声を揃えました。その揃い方があまりにぴったりだったので、おばあさんはわず吹きしてしまったそうです。

それから数、双子はしい暮らしの支度に追われました。布団を運び込み、さな机を組みて、所の具を揃えます。商と言っても野の町のものよりはずっと賑やかな京の商を歩きながら、はこれから始まる活のことをあれこれと語りいました。

「サークルはどうする?」「そうだな、俺は本を読んでる静かなとこがいいな」「おは昔からそういうやつだったよ」こんなにたわいもない話をしながらは夕暮れのを歩いていきました。宿への帰り。商の角にさな喫茶がありました。「コーヒー」とだけかれたすりガラスの扉の古いです。

双子は何度かそのち寄りました。このの胸のうちにあるいが密かに芽えていたことをるものはまだ誰もいませんでした。それは々この物語のきな鍵となるある秘密につながるいだったのですが、それについてはもうし先でお話しすることにいたしましょう。

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