みかん小説
本棚

"消えた母の 10 年地下室" 第5話

ビラを見て報提供の話がかかってくることもありましたが、ほとんどが懸賞目当ての偽の通報でした。

「ここで見ました」「あそこで見ました」という話でしたが、実際にってみると全く別でした。

は次第に絶望に沈んでいきました。

警察の捜査も徐々に消極になっていきました。

たながかりがない状況で、これ以員とを投入するのは難しいというのが警察のでした。

「これ以しいがかりがなければ捜査を打ち切らざるを得ません」

担当刑事の言葉に裕は落胆しました。

しかしどうすることもできませんでした。

現実にこれ以捜査する材料がなかったのです。

が過ぎ、が過ぎてもミキは帰ってきませんでした。

々は、またとミキのを忘れ始めていきました。

所の々も最初は配して尋ねてきましたが、が経つに連れて自然とを閉ざすようになりました。

妻を見つけることもできず、葬式もげられないまま、ミキの失踪事件は期未解決事件として処理されました。

警察のファイルので埃をかぶっていく事件となってしまったのです。

ももう諦めたかのように、妻を探し回るのをやめました。

代わりに母親と緒にケントの世話に専しました。

広告

息子が成するにつれてがかかるようになったからです。

「ケント、父さんだぞ」

仕事から帰ると、ケントは嬉しそうに駆け寄ってきました。

もうよちよち歩きもできるようになり、簡単な言葉も話せるようになっていました。

「父さん」

息子のるい笑い声を聞くと、裕しだけ慰められました。

ミキは帰ってきませんでしたが、息子だけは元気に育っていました。

ふみ子は相変わらず、平京で、週末は田舎で過ごす活を続けていました。

関節の痛みはますますひどくなりましたが、孫のためにはするしかありませんでした。

「母さん、痛いなら休んでください」

丈夫だよ。うちのケントの世話だもの、どうして休んでいられようか」

拓也は相変わらずくの助けをしてくれました。

ケントが成して活発になると、息子と遊ぶも増えました。

「ケント、おじさんと遊ぼうか」

「おじさん」

息子は拓也のことが本当に好きでした。

父親の次に最もが拓也でした。

拓也もケントを実の息子のようにがっていました。

そうしてが流れ、ミキが失踪してから 8 が経ちました。

今ではほとんどのがミキのさえ忘れてしまっていました。

しかし裕とふみ子、そして拓也だけは今もあののことを覚えていました。

広告

再びが流れ、ケントは 8 歳になりました。

の入学を控えたある、裕は息子のを引いて学を歩いていました。

そこは彼が勤務する学でした。

「ケント、ここが父さんの学だよ。これからケントが通う学になるんだ」

「父さんの学を」

ケントはきな目を輝かせながら舎を見げました。

父さんが働いている所だとうと、何か特別なものに見えました。

入学式の、ケントはしいをきちんと着て、ワクワクした気持ちで教に入りました。

ふみ子も緒でした。

の子供たちは両親が揃ってきていましたが、ケントは父親と祖母だけでした。

「うちのケント、もうだね。しっかり勉するんだよ」

ふみ子は孫を見ながら誇らしげでしたが、方でが痛みました。

こんなに母親がいないということが。

最初の数は問題ありませんでした。

ケントはしい環境に慣れようと懸命でした。

しかしすぐに問題が起こりました。

休みにある子供がケントに尋ねました。

「なあ、田ケント。おの母さんはなんで迎えに来ないんだ?いつもおばあちゃんばっかりじゃないか」

ケントはどう答えればいいのか分かりませんでした。

「母さんは?母さんは?もしかして母さんいないのか?」

「はあ、母さんいないやつがここにいるぞ」

子供たちがクスクス笑いました。

ケントの顔が真っ赤になりました。

胸が苦しくなって涙が溢れそうになりました。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: