みかん小説
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"鬼母の末路" 第22話

 

、真っ暗で氷点の部、毛布にくるまって震えていたあの難民のような姿は、もうどこにもない。

「あなた、お帰りなさい。お仕事お疲れ様」

リビングの奥から、エプロン姿の真由が顔をした。

艶やかな黒髪。

穏やかな笑顔。

彼女もまた、獄のような々から完全に抜けし、本来の美しい輝きを取り戻していた。

キッチンからは、ことこと煮込まれたデミグラスソースの濃で甘いりが漂い、部を幸せな匂いで満たしている。

俺たちはあの、あの忌まわしい実と縁を切った、すぐにセキュリティのしっかりとした都内のマンションに引っ越した。

真由のスマートフォンもしいものを契約し、今では毎、俺が仕事のに何気ないメッセージを送りっている。

静岡の両親も借の圧から解放され、しい械を導入して元気に働き始めているという。

、お礼にと段ボールいっぱいの鮮なみかんとが送られてきたばかりだ。

俺たちを苦しめていた全ての元凶であった母親とは、戸籍続きは難しいものの、弁護士を通じて今切の接触を禁ずるという法な接禁止の誓約を交わし、完全に絶縁した。

彼女が今どこで、どんなふうにお湯ご飯をすすっていようと、俺たちのったことではない。

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「さあ、を洗ってきて。すぐにご飯にするから」

「ああ、今くよ」

るいLEDライトに照らされたダイニングテーブルには、湯気をてるご馳が所狭しと並べられていた。

きなハンバーグ。

具だくさんのビーフシチュー。

彩り豊かなサラダ。

そして、ふっくらと炊きがった艶々のいご飯。

「いただきます」

紗英がきなけてハンバーグを頬張り、「美しい」と目を輝かせる。

その姿を見つめながら、俺と真由は顔を見わせて静かに微笑みった。

「美しいか、紗英」

「うん。すっごく美しい。パパもべて」

「ああ、いただくよ」

に広がる肉の旨と、温かいシチューの

それは、ただの事のではない。

族が緒に、全な所で笑いってご飯をべられるという、この世で最も尊い当たりの幸せのだった。

、お腹いっぱいになった紗英は、俺がドイツから買ってきたきなテディベアを抱きしめたまま、ベッドですやすやと眠りに落ちた。

「お肉、美しいね……」

寝言でそう呟く紗英のを優しく撫で、俺と真由はそっと寝のドアを閉めた。

夜も更け、静まり返ったリビング。

俺と真由はソファに並んで座り、温かい茶をんでいた。

「真由、本当によく耐えてくれたな。君が守ってくれたから、俺は今こうしてまた笑うことができる。

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ありがとう」

俺が改めてげると、真由は静かに首を振り、俺のきなを両でそっと包み込んだ。

「ううん。私こそごめんなさい。あなたを信じて、もっとくSOSをしていればよかった。お義母さんに脅された、私は『変だから、私がすればいいんだ』って勝い込んでいたの」

「真由……」

「でも違った。夫婦って、することじゃない。苦しいは『助けて』って声をげてよかったのよね。あなたが私のお父さんたちの借を返してくれて、あのお義母さんにち向かってくれた、私、あなたが本当のスーパーヒーローに見えたのよ」

真由の瞳から、筋の美しい涙が頬を伝って落ちた。

俺はその涙を指ですくい取り、彼女の肩を優しく抱き寄せた。

「俺だって同じだ。毎万のを送ってさえいれば、族の責任を果たしていると勘違いしていた。さえあれば、おたちが幸せに暮らせるとがっていたんだ。でも切だったのは、れていてもお互いのを通わせ、声を聞き、何が起きているのかをろうとする努力だったんだな」

はただの具に過ぎない。

その具をどう使うかは、結局のところ、とのつながりにかかっている。

あの欲な母親は、という具にを支配され、最は自分のを滅ぼした。

俺はという具を盲信しすぎたせいで、する族を危うく失いかけた。

 

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