みかん小説
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"鬼母の末路" 第20話

だが俺は、それを酷に蹴り払った。

「真由、帰ろう。紗英がホテルで待ってる」

俺がを差し伸べると、真由はきく頷き、俺のをしっかりと握り返した。

そのは、もうしも震えていなかった。

「ええ、帰りましょう。あなた」

その顔には、かつてのような恐怖も怯えもない。

ただを向いて歩きさだけがあった。

「ああ。いやあ、見捨てないで」

から母親の絶望の絶叫が響き渡る。

を奪われ、財産を奪われ、世体も何もかもを失い、孤独な老と莫な借だけが残される。

それが、この女が自ら招いた結末だ。

俺は玄関へと向かうを止め、最度だけ振り返った。

で泣き叫び、髪を振り乱す母親に向かって、俺は全ての決別を込めてはっきりと告げた。

「お袋。族って、支配する側じゃない」

その言葉を残し、俺は実なドアを、度とけることのない覚悟で力く閉めた。

ガチャン、というたい属音が、俺たち族を縛りつけていた全ての呪いを断ち切った。

なドアが閉まった瞬から「ああ、いやあ」と獣のような絶叫が聞こえてきたが、俺のにはもうミリの同も湧かなかった。

たい夜が、照ったをすっきりと覚ましてくれる。

。見事な引導の渡し方だったな。横で見ていて背筋が凍ったよ」

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アタッシュケースをげた黒崎が、呆れたような、しかしどこかしたような声で言った。

「おが完璧な証拠を揃えてくれたおかげだ。謝するよ、黒崎」

「気にするな。の朝番で警察への被害届と告訴状の提。それから民事での資産差し押さえの仮処分申請を裁判所にしてくる。あの母親には、息つく暇も与えないぜ」

黒崎の言葉通り、そこからのきは嵐のように迅速で、そして容赦のないものだった。

、裁判所から母親の全預座に対する仮差し押さえ命令がされ、座は完全に凍結された。

元に現がなくなった母親は、来く予定だった百万円の豪華客クルーズ旅の支払いができなくなり、額のキャンセル料だけを請求されることになった。

もちろん、その支払いすらできるはずもなく、旅代理からも訴えられる羽目になった。

さらに黒崎が提した恐の告訴状は、被害者である真由の両親の証言と、母親本の自録音という完璧な証拠が揃っていたため、即座に受理された。

、実にパトカーが台止まった。

「柏義子さんですね。恐及びの容疑で署までご同願います」

「いや、やめて。してよ。私は何も悪いことなんてしてない。嫁の教育よ。親族のことなんだから警察は関係ないでしょう」

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錠をかけられ、パトカーに押し込まれながら往際悪く叫ぶ母親の姿を、所のたちが巻きに見ていた。

「まあ、義子さん、警察に捕まったの?」

「息子の稼ぎを横領して、お嫁さんをいじめてたらしいわよ」

「おまけにホストに千万も貢いだんですって」

「やだ、あんなにセレブぶってたのに。最ね」

ひそひそと囁かれるたい声。

母親が何よりも恐れていた世体と、セレブマダムとしての見栄は、完全に、そして無惨に崩れった。

この瞬、彼女は文字通りの社会を迎えたのだ。

警察での厳しい取り調べの、さらに彼女を待っていたのは、民事裁判という名の獄だった。

俺たちが請求した百万円の損害賠償。

暮らしの母親に払えるはずもなく、すぐに制執がかけられた。

には裁判所の執官が現れ、リビングにあった級本革ソファ、インチの巨テレビ、ブランドのバッグや貴属など、目のものは次々と赤を貼られ、トラックで運びされていった。

「私の、私のバッグ返して。それは私が苦労してに入れたご褒美なのよ」

すがりつく母親を、無表な作業員たちがたく引き剥がす。

そして最終に、あの派なそのものが競売にかけられた。

は相よりもかなりい値段でに渡り、売却益は全て損害賠償の支払いに充てられた。

それでも全額には届かず、母親は額の借を背負ったまま、み慣れたから制退させられることになった。

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