"鬼母の末路" 第14話
その瞳には、この彼女を支配していた恐怖のはもう見当たらなかった。
「おのれ……よくも、よくも騙したわね。あんたたち。最初から私を陥れるつもりでここに来たのね」
「騙した? 陥れた? 笑わせるな」
俺はテーブルに両をつき、極限まで顔をづけて母親を睨み据えた。
「毎万円というを着し、俺の妻を脅迫し、孤させ、歳の孫にお湯をかけただけのご飯をべさせていた。それは全部、お自のでやったことだろうが。誰のせいでもない。お自の底なしの欲さが招いた結果だ」
俺の声に、母親はビクッと肩をすくめ、豪華な本革ソファの奥へと逃げるように背を押しつけた。
常のように温められていたはずのリビングが、今はまるで氷の気に包まれているかのようだ。
母親の額から流れる脂汗が、化粧のファンデーションを醜く溶かしている。
「ま、待ってよ、。話しいましょう。ねえ、私たちは族じゃない。血のつながった親子じゃないの。確かにちょっとやりすぎたかもしれないわ。でも悪気はなかったのよ。あんたのためをって……」
「俺のためをって、俺の妻と娘をの寸まで追い込んだとでも言うのか」
俺の号が部の空気をビリビリと震わせた。
もはや言い逃れができないと悟ったのだろう。
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母親の態度は急激に変わり、今度はすがるようなれっぽい声をし始めた。
「ごめんなさい。私が悪かったわ。千百万円はしずつでも必ず返すから。だから警察にくのだけはやめてちょうだい。私、所のたちにどうわれるか……。それに来の豪華客のクルーズ旅もキャンセルしたくないの。お友達に自しちゃったのよ」
この期に及んで、まだ世と自分の遊びの配をしているのか。
俺は吐き気を催すほどの嫌悪と共に、徹に言い放った。
「しろ。警察が介入すれば、おの座はすぐに凍結される。クルーズ旅どころか、今の夕飯のおかずすら買えなくなるさ」
「そ、そんな……嘘でしょう。嘘よね、。あんたがそんな酷ななわけないわ。昔はあんなに優しい子だったじゃない」
母親はテーブルにすがりつき、必に俺のを握ろうとしてきた。
だが俺は、そのを汚いゴミでも見るようにさっと払いのけた。
「俺の優しさをい物にして、族を破壊したのはおだ。黒崎、予定通りめてくれ」
俺が図を送ると、黒崎はアタッシュケースからさらに数枚の類を取りし、テーブルのに並べ始めた。
「柏義子さん。あなたが犯した罪は恐とだけではありません。々は、あなたが着した千百万円の正確な使いについても、徹底に調査させていただきました」
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黒崎の言葉に、母親の顔が変わる。
「え……使いって……」
「級ホテルでのランチやブランド品の購入、旅だけではありませんよね。あなたは絶対にられてはいけないある所に、の稼いだをつぎ込んでいたはずです」
黒崎が酷な笑みを浮かべて言い放つと、母親の目はこれ以ないほど見かれ、から「ひっ」とい鳴が漏れた。
彼女が最も隠したがっていた真実が、今、のにさらされようとしていた。
「え……使いって……」
黒崎の言葉に、母親の顔からすっと表が消えった。
分いファンデーションのに隠された素顔が、恐怖と焦燥でピクピクと引きつっている。
黒崎は切の容赦なく、アタッシュケースから取りした数枚のカラー写真をテーブルのに並べた。
さらに赤ペンでびっしりとチェックが入れられた、数枚に及ぶの送履歴のコピーも添えられる。
「柏義子さん。あなたがの座から着した千百万円。確かに級ブランド品や旅にも使われていますが、その半、実に千万円以が、たったの物に貢がれていましたね」
黒崎がたい声で突きつけた写真を見て、俺は言葉を失った。
そこには、母親が代半ばの髪の若い男と腕を組んで、満面の笑みで歩いている姿がはっきりと写っていたのだ。
男の腕にはギラギラとる級計が巻かれ、母親はその男にすり寄るようにしてデパートの級ブティックからてきている。
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