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"鬼母の末路" 第13話

「借があればの話だがな」

俺の放った静かな言に、母親は瞬ぽかんとけ、やがてなほど顔を引きつらせた。

「な、何言ってるのよ。借ならあるじゃない。真由さんの実で、今にも倒産しそうなんでしょう。だから私が親切におを貸してあげたんじゃないの」

「いや、もうないよ」

俺は着のポケットからスマートフォンを取りし、ネットの送画面をいてテーブルのに滑らせた。

「今の午、真由の実が抱えていた負債約百万円。俺の座から全額括で返済した。ついでに当面の運転資として分な額も追加で振り込んでおいたよ。つまり、あのはもう誰にも借なんてしていない。完全な無借経営にまれ変わったんだ」

「は……?」

母親は信じられないものを見るような目で、スマートフォンの画面と俺の顔を交互に見比べた。

百万? 運転資? 嘘よ。ハッタリに決まってるわ。あんたの料は毎万ぽっちで、それは私が全額管理してたのよ。ドイツで暮らしをしていて、そんなを持ってるはずがないじゃない」

パニックになり、裏返った甲い声で叫ぶ母親。

自分が完全に掌握していたはずの息子の経済状況が、根本から違っていたかもしれないという事実を突きつけられ、彼女の額にはじわりとや汗が浮かんでいた。

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そこで黒崎が、追い打ちをかけるようにややかな声でいた。

「お母様、あなたはきな勘違いをされています。はドイツで現企業との型契約をまとめげ、来からはヨーロッパ統括の役員に就任することが決まっているほどの能な技術者です。彼の現の個資産は、あなたがちまちまと着していた千百万円など元にも及ばない額ですよ。百万円の借返済など、彼にとってはポケットマネーに過ぎません」

「役員……個資産……」

母親の目が見かれ、顔面から気に血の気が引いていくのが分かった。

「そ、そんなの聞いてないわよ。。あんた、私にそんな事なことを隠してたの? 親に向かってなんてな」

「隠していたわけじゃない。おが俺の仕事になんて切興を持たず、ただ座に送られてくるにしか興がなかっただけだろうが」

俺が氷のようにたく言い放つと、母親はわなわなと震えした。

自分が絶対な権力者として君臨するための究極の質だった実が、すでに自分のの届かない全圏へと逃げってしまったのだ。

だが、欲なはそう簡単には自分の負けを認めない。

母親はテーブルの百万円の借用を鷲掴みにし、狂ったように振り回し始めた。

「そう、それでもね、この借用には真由さんの実印が押してあるのよ。

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百万円の借は事実なんだから、裁判でも何でも起こして絶対に返してもらうわ。静岡のにも取りての話を毎かけまくってやるんだから」

なりふり構わず喚き散らす母親の姿は、ひたすらに醜悪だった。

しかし黒崎は、れな虫けらを見るような目でさくため息をつき、ぴしゃりと言い放った。

「どうぞご勝に。ただし、民法第条により、脅迫による表示は取り消すことができます。実を潰すと脅してかせたその借用は、法に何の効力も持ちません。むしろ、あなたがその切れを持って裁判所に駆け込めば、自ら『私は恐をしました』と自しにくようなものです。どうぞ警察にも裁判所にも、お好きなところへ持っていってください。々としては証拠がつ増えて助かりますよ」

「あ……う……」

黒崎の完璧な法根拠に基づいた反論に、母親は喉の奥で引きつったような音をてた。

握りしめていた借用からぱらりと滑り落ち、無惨にテーブルのに転がる。

「お袋。これでおが真由を縛りつけていた鎖は全てなくなった。真由のご両親はもうおに脅されることはないし、真由がこのふざけた借用に縛られる理由もない」

俺が静かに宣告すると、真由は俺の背に隠れるようにしながらも、しっかりとを向き、初めて母親をまっすぐに睨み返した。

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