"鬼母の末路" 第8話
指定された部のドアのにち、呼吸をして表を作る。
真由と紗英に、これ以な顔は見せられない。
「真由、俺だ」
ノックをして声をかけると、すぐにチェーンがれる音がしてドアがいた。
「あなた、お帰りなさい」
部のから、ふわりと温かい空気と、デミグラスソースの甘い匂いが漂ってきた。
部の奥のテーブルには、ルームサービスで頼んだらしいハンバーグやエビフライの皿が並んでいる。
「パパ、お帰りなさい」
ベッドので、ホテルのふかふかのガウンにを包んだ紗英が、満面の笑みでを振っていた。
その頬はまだこけているが、数に真っ暗な部で震えていたに比べれば、ほんのしだけ血が戻っているように見えた。
「パパ、ハンバーグ、すっごく美しかったよ。お肉、のでとろけちゃった。ママもね、いっぱいべたんだよ」
無邪気に報告する紗英のを撫でながら、俺は必に涙をこらえた。
「そうか。よかったな。いっぱいべて、く元気になろうな」
「あなた……お義母さんは何て……?」
げに見げる真由の顔を見て、俺は胸の奥で静かに、確かな決の炎を燃やした。
法が裁けないなら、俺が裁く。
真由を脅し、飢えさせ、俺の族を徹底に破壊したあの悪魔を、絶対に許さない。
母が仕掛けた卑劣な罠を全て砕し、完膚なきまでに叩き潰す。
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今はまだ追い込まれているかもしれない。
だが俺にはまだ、あの女がらない切り札があるのだ。
「丈夫だ、真由。全て俺に任せておけ」
俺は真由の細い肩を抱き寄せ、誰にも聞こえないようなさな声で呟いた。
「獄を見るのは、あいつの方だ」
翌朝、ホテルの窓から差し込むの朝が、いシーツを優しく照らしていた。
ふかふかのベッドには、真由と紗英がを寄せうようにしてく眠っている。
「うん……お肉、美しいね……」
寝言でそう呟きながら、紗英がふにゃりと笑った。
そのらかな笑顔を見て、俺は胸の奥がくなるのを必に堪えた。
この、どれほどたいで、飢えと寒さに耐えながら眠っていたのだろうか。
もう丈夫だ。
パパが、おたちを守るからな。
紗英の細い髪をそっと撫で、真由の肩まで毛布をかけ直すと、俺は音を忍ばせて部をた。
ホテルの静かなロビーにりた俺はスマートフォンを取りし、ある男の番号をタップした。
コール音が数回鳴った、く落ち着いた声がに届く。
「、お、帰国は来週じゃなかったのか。朝っぱらからどうした?」
話の相は学代の親友であり、今は都内で弁護士事務所を構える黒崎だ。
元検事という経歴を持つ彼は、特に銭トラブルや悪質な詐欺事件の解決においてにる者はいない、すご腕の弁護士である。
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「黒崎、朝くからすまない。急遽、昨帰国したんだ。実はおの力を貸してほしい。今すぐ叩き潰したいがいる」
俺のただならぬ声の調子に、話の向こうの空気がすっと張り詰めたのが分かった。
「穏やかじゃないな。相は誰だ?」
「俺の母親だ」
俺はロビーの隅にあるソファに腰をろし、この、真由と紗英が受けていた獄のような仕打ちを全て話した。
毎万円の仕送りが、全額自送で奪われていたこと。
真由がスマホを取りげられ、社会から孤させられていたこと。
そして母親が実のを盾に取り、百万円の借用と婚届に無理やりサインさせていたこと。
話を聞き終えた黒崎は、受話器の奥で舌打ちをした。
「胸くそが悪いにもほどがあるな。で、相の言い分としては、親族相盗例があるから警察にっても無駄だと言い放ったわけか」
「ああ。テレビの識か何からんが、本は完全犯罪のつもりでふんぞり返っていたよ。黒崎、今おのスマホに昨の夜の実でのやり取りを録音した音声データを送った。聞いてみてくれ」
「分かった。し待て」
数分、通話状態のまま沈黙が続いた。
やがて音声を全て聞き終えた黒崎が、でふっとたく笑う音が聞こえた。
「、しろ。おの母親、決定な勘違いをしているぞ。
素の半な法律識が、いかに危険かってことを見せてやろう」
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