"偽りの夫婦と奇妙な夜の声" 第23話
「おやめなさい。」
義母のにちふさがったのはの田さんだった。普段は温な田さんだが、その声にはりが込められていた。
「ゆみさんのご両親が残された切なおはすでに私が責任を持って、あなたたちが絶対にしできない全な座に移してあります。
ゆみさんを騙し、政婦のように扱い、さらにはその遺産まで奪い取ろうとしたあなたたちこそ血も涙もない詐欺師だ。」
田さんの気迫に押され、義母はヒッとい鳴をあげてどすんと座布団にへり込んだ。
「騙したのはゆみ。お初めから俺たちをはめるつもりで。」健が青ざめた顔で私を睨んだ。
「お話はそれだけではありませんよ、佐藤健さん。」先が静な声で話を遮った。
そしてテーブルののファイルをき数枚の類を健のに滑らせた。
「先あなたがゆみさんに渡した婚届けと財産分与及び慰謝料放棄の覚ですね。婚についてはゆみさんもしております。」
健の顔に瞬だけ堵のが浮かんだ。
「そ、そうか。なら話はい。おが俺たちを騙していたことは問にしてやるから、さっさとそれにサインしてていけ。
俺はもうおみたいな根暗な女とはとも緒にいたくないんだ。」
「ええ、婚は成させます。」先は鏡を押しげたく言い放った。
広告
「ただしこの慰謝料放棄の覚は無効です。逆にゆみさんからあなたたち名に対し、貞為、悪の図、精神苦痛による額の慰謝料を請求させていただきます。」
「い、慰謝料だと?ふざけるな。俺は会社が危ないから偽装婚を……」
「まだそんな嘘をつくのですか?」先は別の類の束を取りし、の目のに並べた。
「伊藤みほさん、健さんがあなたに買い与えた38万円のジュエリーのレシート、そして毎30万円の振り込み記録。
さらに健さんとあなたがモデルルームに入っていく写真です。」
並べられたかぬ証拠の数々を見て健の言葉がぴたりと止まった。
みほもはっとして元をで覆い目を泳がせている。
「健さん、あなたは妻に活費を渡さずに額な貢ぎ物をし、さらには夫婦の共財産となるべきおでとのマンションを買おうとしていた。これは完全な貞為です。」
「そ、それは……」健は額から量の汗を流し言葉に詰まった。
「そして、義母の佐子さん。」先の鋭い線が今度は義母に向けられた。
「あなたはゆみさんから活費が5万円しかないと嘘をつき、健さんから渡されていた25万円を自分の座に着していましたね。
これがあなたの部にあった裏帳簿と通帳のコピーです。」
「なんでそれを……」
広告
義母が鳴をあげた。
その瞬、隣に座っていた健が弾かれたように義母を見た。
「母さん、お俺から25万受け取っていたのにゆみには5万しか渡してなかったのか?
毎おがりなくて苦しいって俺に泣きついていたのにか。」
エリートだとい込んで自分は族を養っていると自負していた健にとって、母親にまで騙されていたという事実は相当なショックだったのだろう。
「違うのよ、健。これはゆみさんが浪費だから私が代わりに管理してあげようと……」
「苦しい言い訳ですね。」先がさらに枚のを突きつけた。
「消費者融からの250万円の請求。佐子さん、あなたは着したおを自分の見栄や交際費に使い込み、さらに額の借を作っていた。
その返済に困りゆみさんの遺産を奪おうと計画した。違いますか?」
義母は完全に言葉を失いガタガタと震え始めた。
「母さん、借って?嘘だろ?」健は信じられないものを見るような目で自分の母親を見つめた。
自分たちが互いに隠していた見苦しい秘密がのにさらされていく。
彼らが作りげてきた「エリートの息子と品な母親」というっぺらい仮面が音をてて崩れ落ちていく瞬だった。
私は無表のままとどめの証拠を差しした。
「これがあなたたちが私を追いすために話しっていたLINEの記録です。
」
先がUSBメモリに入っていた画から部を印刷した類を配った。
広告
おすすめ作品
-
完結第23話
鬼母の末路
3年ぶりにドイツから帰国した俺を待っていたのは、温かい食卓ではなかった。 真っ暗な部屋。止まった電気。震える妻。 そして、7歳の娘が笑って差し出したのは、お湯をかけただけの白米だった。 毎月50万円。 家族のために送り続けた金は、どこへ消えたのか。 その夜、俺は知ることになる。 家族を地獄に落としていたのは、他人ではなく――俺の実の母だった。怒り|祖父母と孫|兄弟姉妹|嫁姑|夫婦|親子関係3.4萬字5 30 -
完結第20話
黒いゴミ袋に詰まった十五年
離婚の日、義実家を出る私に義父が一袋のゴミを渡した。 「捨ててから行け」と冷たく告げられ、私は何も問わず黙ってその黒い袋を受け取った。 家を離れ、人目のない公園のベンチで袋を開けた数分後、私は中身を見て完全に声を失った。 そこに詰まっていたのは、十五年間誰にも顧みられなかった私の全てだった。怒り|祖父母と孫|兄弟姉妹|嫁姑|夫婦|絶縁|親子関係3.0萬字5 26