みかん小説
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"偽りの夫婦と奇妙な夜の声" 第15話

がり、洗面所へ向かう。鏡に映る自分の顔はひどくやつれ、目のにくまができていた。両親を失ったしみ、温かい族への憧れ。それにつけ込まれ、都よく利用されてきた愚かな女の顔だった。

私はたいを汲み、顔をバシャバシャと洗った。タオルで顔を拭き、鏡をまっすぐに見つめ返す。もう泣かない。されたいと願うい私は、今このたいと共に洗い流す。これからは自分のを取り戻すための、静かで徹な反撃の始まりだ。

「ああ、疲れた。阪の取引先、マジで扱いが悪くてさ。」

の美穂とのの物件探し旅から帰ってきた健は、いかにも仕事で疲弊したような顔を作り、玄関にへたり込んだ。

「健さん、お疲れ様。変だったね。」

私は完璧な笑顔を浮かべ、彼の脱ぎ捨てた靴を揃え、そうなボストンバッグを受け取った。バッグからは美穂が用している甘いのにおいがプンプンと漂っていた。

「ああ、飯はってきたからいい。俺はもう寝る。」

は私に言も労いの言葉をかけることなく、そそくさと脱所へ向かった。

私はその背を見送りながら、預かったボストンバッグを持って自へ入った。を取りし、洗濯に入れる類を仕分ける。その、丸められた Y シャツの胸ポケットから枚のレシートがひらりとに落ちた。

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拾いげてみると、阪にある級ジュエリーブランドのレシートだった。

マタニティリング及びペアネックレス、万円。

妻である私には活費を渋りながら、万円もの贈り物を買う。以の私ならショックで泣き崩れていただろう。だが今の私は無表のままスマホを取りし、レシートを鮮に撮した。弁護士に提する為と悪の証拠が、またつ増えただけだ。

翌朝、健が会社へ社し、義母がまだ寝ている朝、私は々確認している郵便受けを見にった。

チラシや費の請求に混じって、枚の圧着式ハガキが入っていた。差は義母の佐子、発元は聞き覚えのない消費者融会社だった。が話していた義母の借の通だ。

私はキッチンに戻り、湯気をハガキの圧着部分にそっと当てた。ゆっくりと剥がしていくと、信じられない文字が印刷されていた。

最終請求万円。

万円 —— 私はわず呟いた。

義母は健から毎万円の活費を受け取り、自分の通帳に貯め込んでいた。残百万円以あったはずなのに、なぜ消費者融から借ねているのか。

私はハガキをスマホで撮し、再び綺麗に貼り直してテーブルのに置いた。

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で過の義母の言が次々とつながっていく。所の奥さんたちとのランチ会に毎回参加し、常にしい着物をにまとい、「うちの息子はエリートで、私に何自由ない活をさせてくれているのよ」と自し続けていた義母。あの見栄っ張りな性格がすべての原因だ。

きっと自分の体裁を保つための交際費や買い物で、健から渡されたおだけではりなくなり、裏で借を積みねていたに違いない。だから義母はあれほど私の遺産を焦って欲しがったのだ。の美穂のためだけではない。自分の借を返済し、老の贅沢な活を維持するために、涯孤独の嫁から数百万の遺産を奪い取るのがっ取りかったからだ。

彼らの点が鮮に見えた。彼らは今、ひどくに飢えている。もし私の元にある遺産が、彼らの像を絶するほどのだとい込ませることができたら、彼らはどうくだろう。私はつ罠を仕掛けることにした。

そのの午、義母が買い物にかけている隙に、私はノートパソコンをいた。Excel を使い、「ファイナンシャルプランナーへの相談メモ」という偽の類を作成した。

【両親の遺産について 佐藤ゆみ】

定期預百万円(来末解約予定)

父の命保険未請求分:千万円

母の命保険未請求分:百万円

百万円、来末に全額私名義の座に振り込まれる予定

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