"柿の木の下、三十年の帰郷" 第26話
けてみると私がこれまでに送ったが通通綺麗に束ねられて入っていた。全ての封筒がけられ、の便箋は何度も読み返されたせいで端が丸まっていた。番にあったのは兵のにいただった。滲みが張ったようなくそな字で、母さん駐屯では元気にやってるよ。ご飯も美しいしよく眠れてる。配しないでといてある。の方にはな建物の絵と太陽が描かれていた。私はそのを持ったまましばらくけなかった。がし震えていた。母が目を覚まし、私が箱を見ているのを見て言った。のものを勝に見て何してるんだい。ちょっと見てただけだよ。母はを伸ばして箱を取りげようとした。私はし体をかわして言った。ばあさん、これ全部取ってあったのか。あんたがいたを捨てるわけないだろう。
を箱に戻し、蓋を閉めて枕のに戻した。にいたの方が字が綺麗なのに、なんでそれはにしておかないんだ。全部読んだよ。何度も読んださ。私は顔を背け、窓のの柿のを見るふりをした。に吹かれて葉が擦れい、眩しいほどの緑が目にび込んでくる。をすすると母が言った。息子、スイカでもべないかい。町で買ってきな。分かった。あまりきいのを買うとべきれないからな。
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バイクで町まできスイカをつ買って帰った。半分に切りスプーンを添える。母はをさな台に乗せ、で柿ののに座って半分ずつスイカをべた。母は数べるとスプーンを置いて言った。息子、何で苦労に耐えたね。苦労しないと幹部にはなれないさ。私はあんたが偉くなることなんて望んでない。無事にきてくれればそれでいいんだ。今はもう無事だろう。目のにいるんだから。母は頷き、再びスプーンを取ってスイカをかじった。スイカは甘く汁が顎を伝って流れた。私は袖で顔を拭った。母は私を見て言った。あんたのべ方子供の頃から全然変わってないね。そりゃそうさ。俺はずっと俺だよ。変わったところもあるけど変わってないところもあるさ。私はスイカの皮を持ち、スプーンで残りの果肉をかき回しながら何も言わなかった。
スイカをべ、母が眠たそうにしたので部まで付き添って寝かせた。テーブルを片付けスイカの皮を庭の隅に捨てて肥料にする。柿ののがしずついていた。午か頃の太陽はもうそれほどくなく、庭の半分はになっていた。にさな子を置き、タバコを取りして本吸った。煙ががり、柿のの枝のを漂う。この庭はを直し、塀を補修し、を直し、レンガを敷き、柿のを度剪定した。
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私がていった頃よりもずっとっている。母の首が治るとまた歩き回れるようになった。しかし以のようにたくさん野菜を作ることはなく、入りのさなスペースでニンニクや葱をし育てるだけになった。のが広くなり、さなトラックを買って運送業を始めるもてきた。のおじいさんの息子は町でスーパーをいた。昔はは若者が次々とていって老ばかりだったが、今はしずつ若いが戻ってきてを建て始めている。私はタバコを揉み消し、ちがって台所へった。夕飯のお米を洗う。修理したストーブはの通りが良く炎が定している。米を洗い、台所の入りから空を見げた。空は透き通るような青さでくのの稜線がくっきりと見えた。
庭ので誰かが話している。のおじいさんの声で母に何か話しかけているようだが、いのでよく聞こえない。母の返事も聞こえなかったが、声のトーンはるく笑い声も混じっていた。ストーブにをつけると鍋ののがしずつ温まってきた。ボコボコと沸騰する音が聞こえた頃、母が部からてきた。元はまだしおぼつかないが、歩歩台所の入りまで歩いてきてを覗いた。退屈だったかい。ああ、退屈だったよ。
母は私がご飯を炊く様子を見ているのをじっと見ていた。
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