みかん小説
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"柿の木の下、三十年の帰郷" 第16話

 

いい薬だ。私は笑って答えずおじいさんに別れを告げて歩きした。

町に着き材で頑丈なの扉を枚とペンキ、しい鍵を買った。の主は私の装を見てどこから来たと聞いた。

カラスです。

あ、あのから派な自官っていうのはあんたのことか。

はい。

は途端に良くなった。お母さん女であんたを育てて自隊に送りして苦労したんだぞ。

分かってます。

は買ったものをに積みまで送るよと言ってくれたが、私は断った。丈夫です。自分で担いで帰ります。

枚とそのまとめたものでキロくらいあった。肩に担いで分歩く。

度休み端のに座ってタバコを吸った。くのは葉が落ち、まるで毛を狩られた獣のように寒々しかった。

に着くと母が台所で忙しそうにしていた。音を聞きつけててきた母は私が汗だくで扉を担いでいるのを見て急いでタオルを持ってきてくれた。背伸びをして私の額の汗を拭こうとするので自分でやるよと言って受け取った。

母はを引っ込め横で私が古い枠をしい扉を取り付けるのを見ていた。調子をわせ何度かけ閉めしてみる。隙なくぴったりしまった。しい鍵を取り付け、古い鍵は捨てた。

母はその周りをうろうろしながら扉や鍵を撫でた。

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この扉本当に分いね。

ああ、これなら棒も入ってこれないよ。

その言葉を聞いて母の表し複雑だった。

私は母を町の診療所へ連れてった。と腕を見てもらおうと言うとどこも悪くないのになんで先に見てもらうんだいと言いやがった。

昨夜転んだ腕を見ないわけにはいかないだろう。

ちょっと擦りむいただけさ。

じゃあは。

母は黙り込んだ。

診療所の先鏡をかけたの男性だった。と腕を見て血圧を測り、音を聞いた。

は加齢による関節痛ですね。を取れば誰でもこうなります。鎮痛剤と痛み止めをしておきます。腕は打撲ですがひどくありません。血圧がいので塩分を控えてください。

母は隣で満そうに聞いていた。先、私はもう何きてるんだ。自分の体のことくらいは分かってるよ。

薬をもらって帰るすら、母はブツブツ文句を言った。薬を買うなんて無駄遣いだよ。

した額じゃないよ。

あんたが稼ぐおは楽なもんじゃないのに。

今はそれなりにもらってるから丈夫だよ。

に着くともう暗くなりかけていた。私は庭の落ち葉を集めてをつけた。炎が塀を赤く照らす。

母は台所の入りに座り、ネギの根をつちぎってはボウルに放り込んでいた。

私は焚きを見つめながらは町から駐屯話をして移の件を確認しようと考えていた。

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の午、町の郵便局へって話をかけた。

まずは駐屯司に連絡し、状況を伝えて移内示がているか確認した。

まだ続きですが、もうすぐだといます。

分かった。きがあれば教えてくれ。

次に県内駐屯いに話をかけた。昔偵察部隊で緒だった男で、今は県内の駐屯の広報部署にいる。

に戻ってそっちに移したいんだ。続きの件お願いしてくれないか?

任せとけ。おほどの幹部が来るなら誰も歓迎だ。

話を切り、郵便局のにしばらくっていた。気は良く太陽のがポカポカと温かい。通りにはなく何かの老向ぼっこをしながらラジオのノイズ混じりの音を聞いていた。

内示がりるまでまだがかかりそうだ。この数の片付けをして過ごそう。

に戻り母にこれからへ焚きを拾いにってくると伝えた。が来れば焚きがたくさん必になる。

母はお腹が空くからとおにぎりを持たせてくれた。

おにぎりを懐に入れ、斧を背負ってを登る。昔よく歩いただ。幅はし広くなっていたが、でこぼこしているのは変わらない。

腹で振り返るとカラスに見えた。くの根から煙ががり、静かで穏やかな景だった。

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