みかん小説
本棚

"柿の木の下、三十年の帰郷" 第12話

のおばあさんが番に気づいて声をかけた。

「あれ?よし子さんのとこの健かい?」

「はい。帰ってきました。」

おばあさんは私の自官の制からまでじっと眺め、

「いや、随分派になって」と言った。

周りのたちも々に「いつ帰ってきたのか」「駐屯ではどうしているのか」と聞いてきた。

私は簡単に返事をし、すぐに実へ戻った。

母は庭で落ち葉を掃いていた。

箒をかす作がどこかゆっくりとしている。

私は母の箒を取りげ、「俺がやるよ」と言った。

母は箒の柄をさず、「今回は何いられるんだい」と聞いた。

「状況次第だけど、から半ほどはここにいるつもりだ。」

「そうか。」

庭に落ち葉はなく、柿のの葉がに吹かれて数枚面に落ちているだけだった。

集めてに積み、「畑はどうなっているか」と尋ねた。

「おじさんの息子に任せてあるよ。」

「あんたの畑、うまく育ってるか?」

「まあね。ただ照りが続き、あんまり収穫が良くなかった。」

掃除を終え、私はボロボロの扉をし、寸法を測って町へしい扉を買いにく準備をした。

「おを無駄に使わなくていいよ。この扉まだ使えるから。」

「どこが使えるんだ?隙からたいに吹き込んでるじゃないか。」

母はそれ以止めず、から古い錠を探ししてきた。

しい扉にするなら鍵も必だろう。

広告

これはまだ使えるから。」

受け取って確かめるとひどく錆びついている。

「鍵もしいものを取り付けるよ。」

から町まで歩いて分。

私は自転に乗らず、歩いて向かった。

のおじいさんが焚きを積んだ荷を引いているのにくわした。

「荷に乗っていくか」と言われたが、「歩くのが気持ちいいから」と断った。

おじいさんは荷を止め、私に話しかけた。

「よし子さん、ずっとあんたの帰りを待ってたんだよ。昨夜あんたが帰ってきたことはに広まってるぞ。」

「なんて広まってるんですか?」

「偉くなって故郷に帰ってきて、たけしのやつをボコボコにしたってな。」

「ボコボコになんてしてませんよ。ちょっと腕を引っ張っただけです。」

おじいさんはニヤリと笑った。

「ちょっと引っ張っただけでも、あいつにはいい教訓になっただろうよ。あいつは普段から酒をむと分別がなくなるからな。いい薬だ。」

私は笑って返答せず、おじいさんに別れを告げて歩きした。

町に着き、材で頑丈な製の扉を枚、ペンキ、しい錠式を買った。

の主は私の自官の装を見て「どこのから来た」と聞いた。

「沢です。」

「あ、あの奥のから派な自官っていうのはあんたのことか。」

「はい。」

は途端に良くなった。

「おばさんであんたを育て、自隊に送りして随分苦労したんだぞ。

広告

「分かってます。」

は購入した荷物をに積んでまで届けると言ってくれたが、私は断った。

丈夫です。自分で担いで帰ります。」

枚とわせてキロくあった。

肩に担いで分歩く。

度休み、端のに座ってタバコを吸った。

くのは葉がすっかり落ち、まるで毛を刈られた獣のように寒々しかった。

に着くと母が台所で忙しそうにいていた。

音を聞きつけててきた母は、私が汗だくで扉を担いでいる姿を見て急いでタオルを持ってきてくれた。

背伸びをして私の額の汗を拭こうとするので、「自分でやるよ」と言ってタオルを受け取った。

母はを引っ込め、横で私が古い扉の枠をし、しい扉を取り付けるのを黙って見ていた。

調子をわせ、何度かけ閉めしてみる。

なくぴったり閉まった。

しい錠を取り付け、古い錠は捨てた。

母は扉の周りをうろうろしながら扉や錠を優しく撫でた。

「この扉、本当に分いね。」

「ああ、これなら棒も簡単に入ってこれないよ。」

その言葉を聞いた母の表し複雑だった。

、私は母を町の診療所へ連れてった。

と腕の傷を見てもらおう、と言うと、「どこも悪くないのに、なんで先に見てもらうんだい」と言いやがった。

「昨夜転んだ腕を見ないわけにはいかないだろう。

「ちょっと擦りむいただけさ。」

「じゃあは?」

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: