みかん小説
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"壁の中の美大生" 第11話

伊藤と田は、解体された畔カフェの跡っていた。

建物はすでになく、そこには更だけが広がっていた。

面は静かで、くの々がく霞んでいた。

田はしばらく黙っていたが、やがていた。

「刑事さん、美紀さんは最まで諦めていなかったんですね」

伊藤はを見つめたまま答えた。

「ああ。だから絵を残した。言葉を奪われても、自分の真実を残したんだ」

田はさくうなずいた。

壁のに閉じ込められていたのは、遺体だけではなかった。

に葬られた声。

消された

嘘で塗り固められた12

そのすべてが、ようやくた。

伊藤は最に、静かにへ向かってげた。

「佐藤美紀さん。あなたの声は、確かに届きました」

が吹いた。

面がさく揺れ、が細かく砕けた。

19901111の夜から止まっていたは、12、ようやくみ始めた。

美紀の最の絵は、事件の証拠としての役目を終えたあと、母親の元へ返された。

母親はそれを仏壇のそばに飾った。

夜の畔を描いたその絵は、決してるい絵ではなかった。

けれど、面の奥にはさなが描かれていた。

それは、美紀が最まで信じようとした未来のだった。

母親は毎朝、その絵のを供えた。

そして、娘に語りかけた。

「おかえり、美紀」

壁ので12眠っていた女は、ようやく名を取り戻した。

貧しいの娘。

だけは誰よりもきかった美

佐藤美紀。

彼女の物語は、そこで終わったのではない。

真実として、々の記憶に残り続けることになった。

― 完 ―

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