"スイカ畑の12年" 第6話
と答えた。
しかし、そのの夫のは震えていた。
畑仕事をしてきたのが、あのように震えるはずがないことを、恵子はっていた。
それ以は聞かなかった。
怖かったからだ。
ってしまったら、もう戻れない気がしたのだという。
その証言を聞いた刑事たちは、本武志を緊急で呼びした。
取り調べの空気は、これまでとは違っていた。
刑事が恵子の証言をすと、本の顔が初めて変わった。指先が机のでわずかにいた。
それでも、本は黙っていた。
刑事たちは戦略を変えた。
「正司は、もう話している。あなたの取り分についても分かっている」
事実ではなかった。はまだ何も話していなかった。
だが本は、し目を閉じた。
そして、ぽつりと言った。
「私は殺していない」
刑事たちは息を潜めた。
その言葉は、らないの言葉ではなかった。
現にいたの言葉だった。
本武志は、ゆっくりと話し始めた。
正司に頼まれたのだという。
「佐藤茂夫からを取りてたい。緒に来て、し圧力をかけてほしい」
本はそう言われ、佐藤へ同した。
その夜、と佐藤茂夫の論は激しくなった。を返せないと言う佐藤。利息をまけてほしいと頼む佐藤。はそれを許さなかった。
本は、自分は止めようとしたと言った。
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だが、その先の言葉はなかった。
刑事が尋ねた。
「子どもたちは?」
本は俯いた。
答えなかった。
その沈黙が、すべてを物語っていた。
それ以、本は弁護士を呼び、供述を拒否した。
しかし、亀裂はすでに入っていた。
刑事たちは正司を追った。は2001当、富にんでいた。刑事たちが訪ねると、はドアをけ、刑事の顔を見るなり言った。
「来るとっていました」
取り調べで、はタバコにをつけ、い沈黙の、話し始めた。
19896、佐藤茂夫にを貸したのは事実だった。だが、それは単なる貸し借りではなかった。
は当、松本帯で違法な貸しをしていた。表向きは農業用品の仲介だったが、実際には急に資が必な農へ利でを貸していた。
佐藤茂夫が最初にを訪ねたのは1988のだった。その、スイカ栽培が作で、佐藤は翌の農作業資を作るため、150万円を借りた。
利息は法だった。
1989になる頃、佐藤の借はすでに300万円を超えていた。スイカが豊作でも、簡単に返せる額ではなかった。
が6にさらに300万円を貸したのは、佐藤からの願いではなかった。の方から持ちかけたのだという。
「収穫したら度に返せばいい。そのに全部精算しよう」
佐藤には断りにくかった。
そして7、収穫期が始まった。
は本を連れて佐藤に向かった。
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を受け取るためではなく、「雰囲気を引き締めるため」だった。スイカを売ってが入ったら、真っ先に自分に持ってこいと分からせるためだった。
その夜、佐藤で論が起きた。
佐藤は、スイカを売っても利息まで度に返すことはできない、し待ってほしいと訴えた。
は拒んだ。
論は激しくなり、そので佐藤茂夫は倒れた。
は最初、「事故だった」と言った。
刑事は静かに尋ねた。
「その次は」
い沈黙の末、は言った。
「ゆき子さんが見ていた。縁側で全部見ていた」
その、子どもたちが母親の声を聞いててきた。
は顔をげられなかった。
刑事の1は席をち、窓際へった。しばらく背を向けたままだった。
は、その夜、本と緒にビニールハウスのを掘ったと話した。夜けまで掘り、5を埋めた。
だが数、伊藤夫がの異変に気づき、警察へ通報した。掘削許がりるまでの12に、と本は遺骨を度別の所へ移した。くのにに埋め、捜査が静まってから、再び元の所へ埋め戻したという。
だから層のさが違っていた。
だから1989の掘削では何もなかった。
の供述が終わった、取り調べは静まり返っていた。
は最に言った。
「12、1もまともに眠れなかった。それが言い訳にならないことは分かっています」
刑事はちがり、錠を取りした。
は黙って両を差しした。
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