"浴室の鍵" 第16話
「全ては母の財産を奪うための計画だったんです。夫はわざと私を介護で孤させ、そこに達也さんを送り込んだ。達也さんは密で母に暴力を振い、精神に追い詰めて図に完全に判断能力を失った状態を作りげようとした。そして浩司さんが成見になり、母を施設に追いやって全財産を自分たちの懐に入れる。それがあなたたちの恐ろしい計画の全貌ですよね」
「でっちげだ!そんな証拠がどこにある?」
浩司が最の掻きのようにテーブルを叩いて叫んだ。
「おみたいなの悪い女の妄だ。誰がそんな作り話を信じるか」
親族たちもあまりの衝撃な内容にざわめき始め、さすがにそれは本当かと困惑した顔でお互いを見っている。
「本当かどうかは、これからお見せする映像を見ればわかります」
私は切のを交えず静かに宣告した。
「達也さんが『お湯が気持ちよくて声がている』と言っていた密の浴ので起きていた真実。そしてあなたたちが自らので語った、おぞましい本音の全てを」
私は今度こそタブレットの再ボタンをタップした。
型モニターに暗い浴の映像が鮮に映しされる。
そして次の瞬、料亭の優雅な個はの毛もよだつような獄のへと変わったのだった。
広告
「いや、やめて!いよ!」
モニターから突如響き渡った母の鳴に、親族たちは斉にびくりと肩を揺らした。
画面にはたいタイルので震える母に対し、達也が湯のシャワーを浴びせ、笑いながらスマートフォンで撮している姿がはっきりと写っていた。
「わざときな声すなよ。ほら、もっとこっち向いてよ」
「嘘でしょ……」
義姉の息子の姿を見て、義姉は両で顔を覆いガタガタと震えした。
の親族も残酷な景に言葉を失い、顔を青くさせ画面に釘付けになっている。
齢者を敬うべき親族の集まりので、内の男が老を虐待する映像は彼らの価値観を根底から砕くものだった。
「やめろ!消せ、消してくれ!」
達也が発狂したように叫び、モニターに駆け寄ってケーブルを引き抜こうとした。
しかし私はそれを予測し、タブレットを元に引き寄せていた。
「かないで。映像はまだ終わっていませんよ」
映像ので母を脱所に放置した達也が話をかける面に切り替わった。
そして料亭の静まり返った部に、決定な音声が響き渡った。
「ええ、はい。今もばっちりらせておきましたよ」
「そうか、ご苦労だったな」
「あのばあさん、もう完全にボケてて、い湯をかけたら面いように鳴をあげますから」
「そうか。ゆみ子のやつは気づいてないだろうな」
広告
話から聞こえてきた浩司の声に、親族全員の線が斉に浩司へと突き刺さった。
「ばあさんが完全に判断能力を失ったという実績さえできれば、こっちの計画通りだ。ゆみ子から財産の管理権を奪って、あののと預全部に入ったら、約束通り報酬も弾んでくださいよ」
音声が終わると同に私は映像を止した。
部のは恐ろしいほどの静寂に包まれていた。
誰もをかない。
いや、あまりの恐ろしさと衝撃に言葉がなかったのだ。
「これがあなたたちが褒め称えていた優しい甥と素らしい夫の正体です」
私が静かに言い放つと、浩司は子から崩れ落ちるようににへたり込んだ。
「違う!これはAIで作った偽物だ。そうだ、ゆみ子が悪を持って成したんだ」
浩司は油汗にまみれた顔で見苦しい言い訳を叫んだ。
しかしそんな稚拙な嘘を信じる者は、もはやこの部にもいなかった。
独特のしゃがれた声、達也の品な笑い方、内である彼らが聞き違えるはずがなかったのだ。
「達也、あんたなんてことを!おばあちゃんになんてことをしたのよ!」
義姉が泣き叫びながら達也の胸ぐらを掴んだ。
「母さん、違うんだ。俺はおじさんに言われた通りにやっただけ、がもらえるって言うから断れなくて」
達也は完全にパニックに陥り、責任を全て浩司になすりつけようと必だった。
広告
おすすめ作品
-
完結第23話
40.4℃の真実
40.4℃の高熱で救急搬送された、二十歳の女子大学生。 医師は最初、ただの重い感染症だと思っていた。 しかし、診察のために服を少しめくった、その瞬間――診察室の空気は凍りつく。 彼女の身体には、病気では説明できない痕跡が残されていた。 なぜ誰も気づけなかったのか。 彼女は誰にも助けを求められなかったのか。 そして、彼女が涙を流しながら口にした「脅迫されました」という一言が、事件を思いもよらない方向へ動かしていく。 真実を追う刑事。 娘を守ろうとする両親。 そして、権力と金を持つ一人の男。 ページをめくるたびに新たな疑惑が生まれ、最後まで真相が読めない医療サスペンスです。 あなたなら、この事件の真犯人が誰だと思いますか?人生逆転|真実|裡の顔|真相3.5萬字5 1 -
完結第25話
妻のポーチから見つかった結婚指輪
結婚二十二年。 私は、自分たち夫婦ほど平凡で幸せな家庭はないと信じていた。 仕事を頑張る妻を支え、娘を育て、老後のために二十年以上かけて少しずつ貯金を続けてきた。 それが私の人生だった。 だが、妻の出張帰りの荷物を片付けた、たった一度の善意が、その人生を根底から覆すことになる。 下着のポーチの奥から見つかった黒い箱。 その中には、見知らぬ男との結婚指輪と、私たちの老後資金二千百五十万円が入った、別名義の預金通帳が隠されていた。 愛していた妻。 二十年以上親友だと信じてきた男。 そして、私だけが何も知らないまま利用され続けていたという残酷な真実――。 これは、一人の夫がすべてを失い、すべてを取り戻すまでの記録である。真実|裡の顔|真相|ATM扱い|金銭問題|修羅場3.8萬字5 5 -
完結第9話
霧の峠に消えた後継者
1995年秋、長野の霧深い峠道で、1台の黒塗りの高級車が見つかった。 車内には鞄と別荘の鍵だけが残され、運転していたはずの男の姿はどこにもなかった。行方不明になったのは、東京・銀座の名門財閥の3代目後継者、総一郎。28歳の若さで一族の未来を背負うはずだった青年だった。 誘拐か、事故か、それとも自らの失踪か。 身代金の要求もなく、遺体も見つからないまま、事件は長い年月の中に埋もれていく。やがて一族では、総一郎の従兄・涼介が新たな当主となった。 しかし15年後、時効が目前に迫ったある日、総一郎の妹・佐和子は古い資料の中に小さな違和感を見つける。 車に残されていたはずの「別荘の鍵」。だが、それは兄がいつも持ち歩いていた本物の鍵入れではなかった。 消えた鍵入れはどこへ行ったのか。 そして、霧の峠で総一郎は本当に何者かに消されたのか。 時効前日、佐和子と元刑事・沢田は、すべての答えが眠る軽井沢の別荘へ向かう。そこで見つかった一冊の手帳が、15年間閉ざされていた財閥一家の真実を静かに暴き始める――。ミステリー|真実1.3萬字5 87 -
完結第5話
志摩の海に沈んだ母
1994年、三重県志摩の小さな漁村で、70歳を過ぎても海に潜り続けていた海女・高島梅野が突然姿を消した。 その朝、海は穏やかだった。仲間の海女たちは確かに梅野の姿を見ていた。けれど日が高くなっても、彼女だけが水面に戻ってこなかった。捜索は続いたが、亡骸も道具も見つからない。 事故なのか、失踪なのか。 梅野には3人の息子がいた。東京に住む長男、大阪で商売をする次男、そして島に残って母の近くで暮らしていた末の息子・正斗。やがて警察は、梅野が持っていた土地と、息子たちの金銭問題に目を向ける。 だが決定的な証拠はなく、事件は海に沈むように忘れられていった。 それから16年後。 東京・港区で、行方不明のはずの梅野名義の「3億円ビル」が見つかる。しかも名義移転は、彼女が姿を消した後に行われていた。 誰が、母の名義を使ったのか。 古い家に残された血痕、かまどの灰から出てきた金の指輪、そしてタンスの奥に隠されていた一通の遺言書。 志摩の海に消えたはずの真実が、16年後、静かに浮かび上がる――。ミステリー|真実7.7千字5 24 -
完結第4話
トランクの中の9年
2015年、熊本市の公園で、5歳の少年・岡田匠が突然姿を消した。 父・悟と一緒に散歩へ出かけ、砂場で遊んでいたはずの匠。父がほんの一瞬目を離した時、息子の姿はどこにもなかった。公園にいた人々も、周辺の防犯カメラも、匠がどこへ行ったのかを捉えていない。 警察は大規模な捜索を行ったが、手がかりは見つからず、事件は未解決のまま時間だけが過ぎていく。母・美咲は息子の帰りを待ち続け、父・悟は疑いと沈黙の中で少しずつ壊れていった。 そして9年後。 森の違法投棄現場で見つかった一台の古いトヨタ。その車は、かつて悟が所有していたものだった。 錆びついたトランクを開けた時、警察官たちは息をのむ。 中に隠されていたのは、9年前に消えた少年の記憶と、父親が最後まで語らなかった恐ろしい秘密だった――。ミステリー|真実6.4千字5 77