みかん小説
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"浴室の鍵" 第9話

絶対にこの証拠だけは消させるわけにはいかない。

しかし、激しいりと同に私の胸の奥にはどろどろとした黒い胸騒ぎが湧きがっていた。

なぜ達也はこんなことをするのか、単なる頃のストレスの発散だろうか?

それとも元々そういう残酷な本性を持った男だったのだろうか?

いや、それだけでは説がつかない。

浩司はなぜあれほどまでに引に達也を雇い、かばうのか。

義母はなぜ急に母の財産管理についてし始めたのか。

全ての歯つの恐ろしい悪の方向へ向かって回っているような気がしてならない。

翌朝私はもできないままいつもの朝5に起きて台所にった。

まな板でネギを刻むの震えを必に抑え、顔を洗って鏡ので何度か作り笑いの練習をした。

今私が達也の暴力を浩司に訴えても、証拠を突きつけても浩司は必ず達也をかばうだろう。

最悪の、逆して証拠を壊され、母が無理やりくの粗悪な施設に入れられてしまうかもしれない。

戦うなら絶対に負けない準備をしなければ。

「おい、今噌汁はいぞ」

起きてきた浩司は卓に座るなり嫌そうに言った。

「ごめんなさい、から気をつけます」

私が静かにげると浩司はを鳴らしてご飯をに運んだ。

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「まあいい。達也のおかげで夜にばあさんが騒ぐことも減ったしな。あいつには俺からをつけて当てを払ってやるか。おも達也にはしっかり謝するんだぞ」

浩司のその言葉を聞いた瞬、背筋にたい虫がうような覚がした。

母が静かになったのは達也の暴力に怯えきって声をすことすらできなくなっているからだ。

それをってからずか満に笑っている。

私は目の噌汁をすするこの夫が得体のれない化け物のようにえてならなかった。

浩司が会社へかけた、私はすぐに始した。

は達也が来ないだ。

私はゆっくり母をなだめながら着替えさせ、タクシーを呼んだ。

向かったのは隣町にある林というさな内科の診療所だった。

の林健太郎先はもう60代半ばになるベテラン医師で、私のき父の代からずっと母の診察をしてくれていた信頼できる先だ。

「あら、ゆみ子さん、お母さんも久しぶりですね」

診察に入ると先は温かい笑顔で迎えてくれた。

しかし母の様子がおかしいことに先はすぐに気がついた。

いつもなら先に「こんにちは」と微笑む母が私の背に隠れるようにして刻みに震えていたからだ。

「先、実はお願いがあってきました」

私はドアが閉まっていることを確認し、声を潜めて林先にことの次第を打ちけた。

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甥に介護を頼んでいること。

その甥が密で暴力を振っている証拠の映像を見たこと。

そして夫が彼をかばっており、庭内に方が誰もいないこと。

話を聞くにつれ、林先の温な顔から笑顔が消え、厳しい表へと変わっていった。

「お母さんの体を見せてもらってもいいですか?」

林先が静かに問いかけ、私が母のカーディガンを脱がせると先は息をんだ。

母のい肌には映像で見た通りの痛々しい指の跡と赤黒い打撲痕がいくつも残っていた。

「ひどい。これは転んでできる傷ではありません。らかにい力で捕まれ、叩かれた跡です」

林先りを押し殺すようにくつぶやき、カルテに細かく記録を取り始めた。

そして医療用のカメラで母の写真を何枚も撮してくれた。

「ゆみ子さん、あなたはよくで耐え、証拠を掴みましたね。これは派な齢者虐待です」

「先、私はお母さんを守りたいんです。でも夫に話せばきっと証拠を握りつぶされてしまう」

私が涙声で訴えると林先は私の目をまっすぐに見て力く頷いた。

「ええ、分かっています。今はまだご主たちに勘付かれてはいけません。私はすぐにこの傷が自然な力によるものであるという診断を作成します。これがあなたの力な武器になります」

「ありがとうございます。本当にありがとうございます」

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