みかん小説
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"浴室の鍵" 第5話

「私がやろうか。やっぱり男のに脱がされるのは抵抗があるのかもしれないわ。」 私がを伸ばそうとした瞬、達也は私の目をまっすぐに見て厳しく言った。 「僕に任せてくださいって言ってるじゃないですか。おばさんはさないでください。」

そのたい瞳に私はわず息をんだ。 さっきまでの優しい青の顔はそこにはなく、まるで邪魔者を排除しようとするような酷が宿っていた。

「分かったわ。じゃあお願いしてもいいかしら?着替えはここに置いておくわね。」 私はそれ以反論できず、逃げるようにリビングへと戻った。

本当に久しぶりの、何もしなくていい静寂。 だけどなぜだろう、胸の落ち着きがどうしても戻らない。 浩司の自然な優しさ、義母の恩着せがましい言葉、そして達也の私の介入を頑なに拒むような態度。

そのだ。 ガチャ。 廊の奥からさな、しかしはっきりとした属音が響いた。 それは脱所のドアの内鍵が閉められた音だった。

の脱所のドアは内側から鍵をかけられるようになっているが、族しかいないこので、わざわざ鍵をかけて呂に入るものなど誰もいなかった。 百歩譲って若い娘が頃になって鍵をかけるならわかる。 だが 30 代半の男が、認症の老婆を入浴させるために、なぜ内鍵をかける必があるのだろうか。

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どうして鍵なんか……。

私はソファからがり、廊へと向かった。 閉ざされたドアのち、を澄ませる。 音に混じって聞こえてきたのは、決して気持ちいいとはえない、母の苦痛に満ちた奇妙なうめき声だった。 その音を聞いた瞬、私の背筋に氷を当てられたようなたい衝撃がった。

私が信じようとした優しい仮面の裏で、何かが静かに、確実に狂い始めている。 その予は、この私の目を疑うような残酷な形で現実のものとなるのだった。

どうしてお呂に内鍵なんかかけるの。 ドアの取っを握る私のは激しく震えていた。 ドアの向こうからは相変わらず音が響き、それに混じって母の言葉にならないうめき声が漏れ聞こえてくる。

私はたまらずドアをくノックした。 「達也くん、丈夫?お母さんどうしたの?」

数秒の沈黙の、カチリと鍵がく音がして、しだけドアの隙いた。 隙から顔を覗かせた達也は、額に汗を浮かべながら、いつものなつっこい笑顔を作っていた。

「あ、ゆみ子おばさん、すいません。ちょっとおばあちゃんが暴れちゃって。」

「暴れたって、どうして鍵なんか閉める必があるの?」 私が問い詰めると、達也はしもひるむ様子もなく平然と答えた。

「認症の方って、お呂を嫌がって急にに逃げそうとすることがあるんです。

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濡れたで転んだら骨折して変なことになりますから、全のために鍵をかけさせてもらいました。プロとしては当然の配慮ですよ。」

すらすらとてくるその説は、見するともっともに聞こえた。 「でもお母さんのあんな声、今まで聞いたことないわ。本当に丈夫なの?」

「ああ、あれですか。お湯が気持ちよくてわず声がちゃうみたいですね。お寄りにはよくあることですよ。さあ、もうすぐ終わりますから、おばさんはリビングで休んでいてください。」

達也はそう言うと、私の返事も待たずに再びドアを閉め、無にもカチリと音をてて鍵をかけた。

お湯が気持ちよくて声がる? そんなわけがない。 母の世話をしてきた私には分かる。 あの声はどう聞いても、苦痛と恐怖に耐えている声だった。

それから 20 分ほどして、ようやく浴のドアがいた。 「おばあちゃん、さっぱりしたね。」 子を押されててきた母はタオルに包まれ、刻みに震えていた。 いつもなら「おがりは温まったわ」と微笑む母が、今はを向き、怯えたような目で自分の膝を見つめている。

「お母さん、よく頑張ったね。今お着替えするからね。」 私が母の体を拭き、パジャマを着せようと腕を通したのことだった。 母がさくをよじった。

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