みかん小説
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"壁の中の妻" 第16話

を歩いていても、向こうからを着た奥さんが僕を睨みつけながら歩いてくるのが見えるんだ。しかし、恐怖で鳴をげてづくと、それは全くの別だ。私は完全に狂ってしまっている……』

『2012、事件から6が過ぎた。私は依然として、何もらない先輩のそばに友として居続けている。先輩は寂しそうな顔で、僕のことを「唯の親友だ」と言ってくれる。その信頼の言葉が、私の脳裏をノコギリで挽かれるよりも激しく苦しめるんだ……』

『2015、病院で肝臓癌の診断を受けた。すでにステージ3だという。やはり、神様は見ていたんだ。罰を受けたのだ。奥さんの命を奪い、先輩を騙し続けた代償として、私はこうして内側から腐ってんでいくのだ……』

そして、本のの最のページの記録には、こう結ばれていた。

『私はもなくぬだろう。医者が、残り数週も命がないと言った。私はに、この記のノートを先輩に残すつもりだ。先輩、本当に、本当に申し訳ありませんでした。奥さん、本当にごめんなさい。僕は獄に落ちて、永にその罪を償います……』

はノートの最の文字を読み終えると、警察署の取調に力なく座り込んだ。

「こいつ……殺しのくせに……! 30の友が、俺の妻を殺して、10も俺の横でずっと善の演技をしていたなんて……!」

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りのあまり、自らの拳で警察署のを何度も何度も、血がにじむほどく叩きつけた。

201695、田子さんの葬儀が、松本内のさな葬儀において厳かに執りわれた。失踪から10というあまりにもい歳を経て、ついに彼女はまともな形で族の元へと帰ってきたのだった。祭壇の央に飾られた遺子さんは、10と変わらないるい笑顔を浮かべて、参列者を見つめていた。

には、子さんの親族や、かつての職の同僚たちが数く訪れた。同僚の恵子もまた、黒い喪を包み、受付で涙を流しながら遺た。

子さん……10ぶりに、やっとこうして会えましたね……。あの、私が夜勤を代わってなんて言わなければ、こんなことにならなかったのに……本当にごめんなさい、子さん……」

恵子はハンカチで顔を覆い、祭壇ので激しく肩を震わせた。かつての内科医院の院もまた、焼を終えると、健く握りしめた。

「田さん、奥様は本当に、患者さんからもスタッフからもされる、素らしい護助でした。本当に、残でなりません……」

葬儀の2目の夜、棺のに棺の蓋を閉じる最の瞬がやってきた。健い骨壺のにゆっくりと膝をついた。彼は骨壺のたい陶器の表面に、自らのシワだらけのをそっと添えた。

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子……10、本当につらい苦労をかけたな……。あんな寒くて、真っ暗な壁のにたった1で残されて、どんなに怖かったろう、どんなに寂しかったろう……」

の目から涙が溢れて止まらなかった。

「本当にごめんよ、子。俺がおくにいながら守ってやれなくて……。毎、毎を探し回っていたのに、まさか自分が座っていたすぐ隣の壁のに、おがいたなんて気づけなかった。すぐ隣に、俺がいたのに……本当に、本当にごめん」

は骨壺を自らの胸のにしっかりと抱きしめた。

子、これからはもう、何の配もしないでらかに眠ってくれ。あそこみたいに、寒くも、暗くもないからね。俺も、そっちへすぐにくよ。だから、しだけ、もうしだけ待っていてくれ」

は自らの額を骨壺のたい蓋にそっと当て、しばらくの、静かに目を閉じて祈りを捧げた。

の午棺が執りわれ、遺骨は松本内にある静かな霊園の納骨堂へと置された。御で作られたさな名札には、の文字でこう刻まれた。

『田子、1957315、2006612没。する妻、永に記憶します』

葬儀のすべてを終えて、健は松本内の空っぽのワンルームマンションに1で戻ってきた。彼は部の片隅にあるさな棚のに、子のるい遺を静かに飾った。

そして、毎朝必ずその写真のち、くお辞儀をしてから、温かいお茶を供えるのが彼のしい課となった。

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