"臨月サウナ監禁" 第20話
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完結第7話
消えた子役の日記帳
昭和60年、京都郊外の人気時代劇撮影所で、7歳の子役・中村翔太が突然姿を消した。 撮影直前、「トイレに行ってくるね」と母の手を離れた翔太。だが数分後、トイレ前に残されていたのは、片方だけの白いズック靴だった。大勢のスタッフや俳優がいる撮影所の中で、子どもは煙のように消えた。 母・道子は息子の名を叫び続けたが、翔太は見つからない。現場では人気監督の黒木が誰よりも熱心に捜索を指揮し、世間からは“子役を思う温かい監督”として称賛された。 しかし、撮影所の片隅では、いくつもの小さな違和感が残されていた。 倉庫の方へ向かう黒木監督の姿。子どもの泣き声を聞いた新人照明係。夜中に土のついた作業着とスコップを隠す監督を見た警備員。 けれど証言は消され、関係者は口を閉ざし、事件は単なる失踪として扱われていく。 それから15年後。 亡き母の遺品整理中に見つかった、翔太の小さな絵日記帳。最後のページには、7歳の子どもが震える手で残した“ある一文”が書かれていた。 その日記帳が、15年間コンクリートの下に埋められていた真実を、ついに世の中へ引きずり出す――。ミステリー|行方不明10.0千字5 0 -
完結第5話
32億の貧乏母
67歳の高橋澄子は、夫を亡くしてから古いアパートで質素に暮らしていた。 ある夜、息子夫婦から「一緒に住まないか」と持ちかけられる。久しぶりに必要とされた気がして、澄子の胸は温かくなった。だが次の瞬間、息子の口から出た言葉は、あまりにも冷たかった。 「年金もないのに、一緒に住むの?」 嫁からは「お荷物」と言われ、やがて同居どころか、月十万円の施設を勧められる。さらに息子夫婦は、裕福な嫁の両親には頭を下げながら、澄子のことを「貧乏で恥ずかしい親」と陰で笑っていた。 それでも澄子は、すぐに怒らなかった。 彼女には、誰にも明かしていない秘密があった。 三年前、亡き夫が残した莫大な資産。会社の売却益、株式、不動産。その総額は、息子夫婦が想像もしないものだった。 母を愛しているのか。 それとも金がある親だけを大切にするのか。 答えを知った夜、澄子はついに“本当の自分”を明かす決意をする。 年金もないと蔑まれた母が選んだ最後の相続先は、息子夫婦の未来を静かに打ち砕くものだった――。因果応報|真相7.3千字5 0 -
完結第7話
龍神窟に眠る約束
1995年、志摩半島の小さな漁村で、村一番の腕を持つ5人の海女が海へ出た。 向かった先は、10年に1度だけ秘密の通路が開くと語られる海底洞窟「龍神窟」。そこには、1つで1年分の収入になるという“大アワビ”が眠っていると言われていた。 しかし、その日を最後に、5人は帰らなかった。 突然の嵐による海難事故。村も警察もそう結論づけ、事件は静かに忘れられていく。だが、母を失った少女・美咲だけは、20年間ずっと疑問を抱き続けていた。 本当に、あれはただの事故だったのか。 2015年、海洋ドキュメンタリーのディレクターとなった美咲は、母の失踪の真相を追うため故郷へ戻る。だが、村人たちは口を閉ざし、漁業組合長は調査をやめるよう警告する。 やがて美咲は、20年前の海に隠された密輸船の存在と、母たちが見てしまった“あるもの”へとたどり着く。 そして海底洞窟の奥で見つかったのは、5人の遺骨と、母が最後まで握りしめていた約束の貝殻だった――。ミステリー|真相1.0萬字5 1 -
完結第6話
千船の祝い膳
孫のお食い初めの日、千代乃は夫が選んでくれた古い着物を着て、高級ホテルの宴会場へ向かった。 手には、孫のために用意した祝い箸と、長年大切にしてきた白い布巾。 ただ一緒に節目を祝いたかっただけだった。 しかし扉の向こうで、嫁・絵里奈は冷たく言い放つ。 「その古い着物で入らないで。写真に残るから」 扉は閉ざされ、千代乃は祝いの席から締め出される。 息子の真司も中にいたが、母のために扉を開けることはなかった。 廊下で立ち尽くす千代乃の袋から、古びた布巾が床へ落ちる。 そこに刺繍されていたのは、彼女が料理人として生きていた頃の名――「千船」。 その布巾を拾った総料理長は、顔色を変え、千代乃の足元に膝をついた。 「千船先生……なぜ先生が、扉の外に」 実は千代乃は、祝い膳の世界で多くの料理人を育てた伝説の料理人だった。 見た目だけで母を笑った嫁たちは、その瞬間、自分たちがどれほど大切な人を粗末に扱ったのかを思い知る――。因果応報|人生逆転|祖父母と孫8.4千字5 0 -
完結第8話
地下室に消えた母
1993年のお盆、若い母親・美紀は、夫と1歳の息子とともに帰省する途中、忘れ物を取りに自宅へ戻った。 「すぐ戻るわ」 そう笑ってバスターミナルを離れた美紀は、そのまま二度と戻らなかった。 財布も荷物も残されたまま、足取りは家の近くで途絶える。夫の裕二は幼い息子を抱えながら必死に妻を探し続けるが、手がかりは何ひとつ見つからない。やがて警察の捜査も止まり、家族には「母のいない10年」だけが重く残された。 そんな中、成長した息子・健人は、親切な隣人として家族を支えてきた男の家で、ある日、奇妙な声を聞く。 声は地下室から聞こえていた。 暗い階段の先で、健人が出会った痩せ細った女性。彼女は震える声でこう言った。 「健人……私のお母さんよ」 10年前に消えた母は、本当に生きていたのか。 そして、家族のすぐ隣に隠されていた衝撃の真実とは――。ミステリー|遺體発見1.1萬字5 0 -
完結第7話
病室の鍵を閉めた嫁
初孫が生まれたと聞き、元産婦人科医の佳代は、3か月かけて縫った白い産着を手に病院へ向かった。 これまで息子夫婦には、出産準備や新居費用として700万円以上を援助してきた。 ただ一目、孫の顔を見たかっただけだった。 しかし病室の前で、嫁・美咲は実母に言い放つ。 「お義母さんを入れないで。赤ちゃんには会わせないで」 冷たい鍵の音が響き、佳代は扉の外に取り残された。 さらに中から聞こえてきたのは、孫を人質にして今後も金を引き出し、いずれ佳代の家や通帳まで手に入れようとする会話だった。 だが、嫁たちは知らなかった。 美咲と赤ちゃんを救った手術チーム全員が、かつて佳代が育て上げた教え子だったことを。 廊下で「小野寺先生」と呼ばれた瞬間、病室の空気は一変する。 見下していた義母の正体を知った嫁とその母は、顔面蒼白になる。 その日、佳代は孫を一度だけ抱きしめ、息子夫婦との関係を静かに終わらせる決断をする――。因果応報|祖父母と孫|第二の人生9.6千字5 0 -
完結第6話
居候の更地返し
62歳の松下裕子は、31年間看護師として働き続け、夫の死後は息子夫婦と同居していた。 家事をこなし、毎月15万円の生活費を入れ、それでも家族のためだと自分に言い聞かせてきた。だが嫁の香里は、裕子を家族ではなく“便利な居候”として扱い始める。 そしてハワイ旅行へ出発する朝、香里は冷たく言い放った。 「居候は掃除してろ」 息子の裕樹は、母をかばわなかった。むしろ、裕子を施設に入れる計画まで進めていた。 空港から1人で戻った裕子は、夫が残した書類箱を開ける。そこで見つけたのは、不動産登記簿と、夫が密かに守ってくれていた通帳だった。 この家の本当の所有者は、裕樹でも香里でもなかった。 ハワイで豪遊する息子夫婦が帰国するまで、残り1週間。 「掃除してろ」と命じられた裕子が選んだ“最後の掃除”は、2人の帰る場所そのものを消すことだった――。因果応報9.0千字5 0 -
完結第10話
最後に座った妻
35年間、夫に尽くしてきた道子。 朝は誰よりも早く起き、食事を作り、家を整え、夫の言葉を笑って受け流す。定年後、家にいる時間が増えた夫・勝則は、そんな妻に何気なく言い続けていた。 「お前は一日中暇でいいな」 怒鳴られるわけではない。暴力を振るわれるわけでもない。けれど、笑いながら投げられる言葉は、道子の心を少しずつ削っていった。 ある日、娘の一言をきっかけに、道子は自分が長年耐えてきた痛みに初めて気づく。そして、押し入れの奥から古いノートを取り出し、静かに準備を始めた。 いつも通りの朝、いつも通りの食卓。 しかしその翌日、夫が目を覚ますと、妻はもう家にいなかった。 残されていたのは、結婚指輪と、たった3行の手紙だけ。 35年間、妻が当たり前のように支えていた日常を失った夫は、初めて“何もできない自分”と向き合うことになる――。因果応報|夫婦1.5萬字5 0 -
完結第5話
消えた一人分の席
親族の食事会に招かれたはずの北川理香子は、テーブルに並ぶ豪華な料理を前に、静かに気づいた。 十人分の席。十人分の料理。十人分の取り皿。 けれど、自分の分だけがなかった。 「お母さんの分、数え間違えちゃって」 嫁・由香はそう笑ったが、それが偶然ではないことを理香子は悟る。介護士として三十三年間働き、息子を大学まで出し、結婚資金も住宅資金も援助してきた。さらに毎月十五万円を送り続けてきたにもかかわらず、食卓で彼女を待っていたのは、冷めた残り物と「お荷物はいりません」という言葉だった。 その場で怒鳴ることも、泣き崩れることもしなかった理香子は、夫とともに静かに席を立つ。 しかし、嫁も息子もまだ知らなかった。 今住んでいる家の土地が誰の名義なのか。毎月の生活を支えていたお金がどこから来ていたのか。そして、理香子がすでに弁護士と準備を進めていたことを。 その夜、家族を見下した嫁の前に、一枚の登記簿が差し出される。 食事会で外された母が、静かに取り戻したものとは――。因果応報|親不孝|絶縁7.7千字5 0 -
完結第7話
奥日光の白い菊
1995年秋、東京の女子大学に通う4人の女子大生が、紅葉を見るため奥日光へ向かった。 中禅寺湖で笑い合い、民宿で一夜を過ごし、翌朝「竜頭ノ滝へ行く」と言って出発した4人。だがその後、彼女たちは誰一人として戻らなかった。 駐車場に残された車。岩の隙間に落ちていた片方のスニーカー。そして使い捨てカメラの最後の写真に写り込んでいた、ぼやけた男の影。 警察は捜索を続けるが、4人の行方も、写真に写った男の正体も分からないまま、事件は迷宮入りしていく。 しかし4年後、渓谷に白い菊を供えた一人の女性が、警察署を訪れる。 彼女は言った。 「私は、あの日失踪した4人のうちの1人です」 紅葉の山で何が起きたのか。 なぜ彼女だけが生き残ったのか。 そして、彼女たちの背後にいた男は何者だったのか。 30年経っても消えない、奥日光の渓谷に残された沈黙の真実。ミステリー|真相|行方不明1.0萬字5 0