みかん小説
本棚

"居候の更地返し" 第6話

鍵は受け取り、翌から引っ越しの準備が始まる。

に戻ると、夕方になっていた。里と裕がハワイへ発した予定表を確認し、1週の帰国までに全ての準備を完させるスケジュールをで組みてる。解体業者、引っ越し業者、湘居の鍵受取。すべて、計画通りだ。

裕子は荷造りを始めた。必限の類、夫とのの品、患者からの謝状。箱に詰めながら、に取り、触りや匂いを確かめた。残すものと捨てるものを厳密に分ける。荷造りは理でもあった。

キッチンで簡単な夕を作りながら、裕子はの予定を理した。解体業者は朝1番に来る。翌からは解体され、裕子の荷物だけが運びされる。里と裕の荷物は、ったことではない。

「居候は掃除してろ」

里の言葉が、でくっきりと響く。裕子はわず笑った。

「掃除しますとも。さらにします。あなたたちの居所も、完全に掃除してあげます」

1週、午2半。裕子は成田空港の到着ロビーで静かにっていた。には湘居の鍵。背には誰もいない。

到着予定のゲートから、ハワイ帰りの里と裕が姿を現す。笑顔でブランドバッグを抱え、軽やかに歩く。裕子はゆっくりづいた。

「お帰りなさい。

広告

母さん、迎えに来ました」

は振り返り、驚愕した表を見せる。

里のき、言葉を失う。裕も、揺で肩が揺れた。裕子は封筒を取りす。

「これを見て。産登記簿のコピーと解体完です」

里がに目をらせ、顔面蒼

「何これ……が……」

裕子は微笑み、穏やかに説する。

「そう。あのは最初から私の名義でした。あなたたちが居候と呼び、政婦扱いした所。私が掃除してあげました。さらにして」

里は唖然とし、膝から崩れ落ちる。裕が慌てて抱き起こすが、の顔から血の気が引いていくのが見て取れた。

が……がない!」

裕子は肩を揺らして笑った。

「とても綺麗になったわ。私はしいマンションに引っ越しました。の見える、静かで素敵な所よ。もう誰の命令も受けず、自由に暮らせます」

里が泣きながら許しを乞う。

「お母さん、お願い、許して。謝るから、本当にごめんなさい」

裕子は静かに首を振った。

「今更許しても遅いの。あなたたちは私というを完全に否定した。族イベントから除し、私を居候と呼んだ。その結果を、わってください」

タクシーに乗り込み、湘岸通りへ向かう。窓のがほほを撫でる。31護師、10々がすべて終わった瞬だった。

居のリビングで、裕子はく息をついた。

広告

窓のには青いくの平線。夕が沈み、が部いっぱいに広がる。

誰にも邪魔されず、誰からも居候とは呼ばれない。初めて、自分だけのに入った。

携帯話が鳴る。裕からだ。しかし裕子は画面を見ずに切った。

「過は過。私はもう自由」

でコーヒーを淹れ、カップをに窓辺に座る。31の命を支えてきたで、自分のを取り戻す。ストレスのない活は、肌も表るくした。

数週、勤務先の病院で表彰を受ける。の功績を称え、労省から特別表彰。裕子のは汚くない。命を救うとして評価される。

帰宅すると、沿いのの旅はよい。自宅に帰れば自分だけの。好きな音楽を聴き、趣の読を楽しむ。

週末には護師仲とランチを楽しみ、自由なを満喫する。誰からも批判されず、文句を言われることもない。

そして、裕子は静かに微笑む。

「これが、私の選んだ

31護師経験が教えてくれた最も効果な処置。それは、腐った関係を綺麗に切除することだった。そして、しい健康なを、自分自で始めること。

平線から昇ると、部いっぱいにが広がった。裕子はゆっくりとコーヒーをみ、呼吸する。

もう誰にも依せず、誰の命令も受けず、自分だけのきている。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: