みかん小説
本棚

"年金七万円の老人ホーム" 第2話

『お父さん、軽費老ホームっていうのを見つけたよ。ケアハウスとも呼ばれるみたい。所得が向けの施設なんだって』

私は藁にもすがるいで、その軽費老ホームについて調べた。資料によると、軽費老ホームは利用者の所得に応じて額費用が変する仕組みになっていた。私のように7万円程度のであれば、施設の額費用は6万円から7万円に収まるとかれていた。

「これだ……。ここなら私でも入れる」

私はすぐに申し込みを決し、必類を揃えて郵送した。しかし、ここにもやはり待者がいた。私はアパートの部で、貯が尽きる恐怖と戦いながら、じっと3ヶ待ち続けた。そしてある、施設から入居許の通が届き、ようやくしいまいへと移れることになったのである。

入居した来事は、今でも鮮に覚えている。私はみ慣れたアパートをにし、さなスーツケースを1つだけに持って、指定された施設へと向かった。

到着した建物のち、私はその観をじっと観察した。お世辞にも綺麗とは言えない、古びたコンクリートの建物で、壁の塗装もあちこちが剥げ落ちていた。

「これが、しい所か……」

覚悟を決めて自ドアをくぐり、へとを踏み入れた。観の古さとは裏腹に、や廊はきちんと清掃がき届いており、清潔な印象を受けた。

広告

スタッフに案内されて廊み、指定された部のドアをける。

は、6畳ほどの簡素な個だった。を見渡すと、備え付けのベッド、さな製の机、そして壁に埋め込まれたクローゼット、それだけが置かれていた。部の隅にはさなトイレと洗面所がついていたが、お呂は部にはなく共同だった。

「ここが私のしいか……」

私はスーツケースをに置き、ベッドの端に腰をろした。窓のの殺景な景を眺めていると、急に胸の奥が締め付けられるように寂しくなった。アパートでの自由な暮らしと比べ、あまりにも質素な空だったからだ。でも、仕方がない。これが7万円というないで入れる老ホームの、飾らない現実なのだと自分に言い聞かせた。

最初のは、環境の激変に本当にが辛かった。

朝、まだ暗い午6になると、部のスピーカーからけたたましい起チャイムが鳴り響く。私は眠い目を擦りながら体を起こし、を着替えた。

7になると、朝の案内が流れる。私は部て、廊の先にある広い堂へと向かった。堂の子に腰をろし、周囲の様子を観察する。すでに何ものの入居者たちが席についていたが、驚くほど静かだった。みんな無言で、ただ元の器を見つめて黙々とべているのだ。

広告

配膳された朝の盆を線でなぞる。ご飯、噌汁、さな焼き魚、そして切れの漬物。実に見事なまでに質素なメニューだった。自体は決して悪くはなかったが、私にとってはらかに量がなかった。

「昔はもっとたくさんべていたのにな……」

私は箸を置き、で寂しく呟いた。

事が終わると、の入居者たちと同じように、私もすぐに自分の部へと戻った。そして、何をするでもなく、ただベッドのが過ぎていくのを待つ。テレビのスイッチを入れ、バラエティ番組の画面を眺めるか、あるいは窓のを通るをぼんやりと数える、それだけの々だった。

正午の12になると、再びチャイムが鳴り、昼のために堂へく。このの昼は、いカレーライスとさなサラダだった。やはり質素だった。べ終えると、また自分の6畳の部に直して引きこもる。

6になると、夕だ。堂に並んだのは、ご飯、噌汁、野菜の煮物、そしてさな鉢。やはりどこまでも質素だった。

そして、夜の8になると、施設全体が就寝のとなる。私は部気の紐を引っ張り、真っ暗になった井を見つめながら横になった。それが、毎寸分の狂いもなく繰り返される規律の壁だった。

最初の、私は暗い部で何度も同じことを考えていた。

(ここは、まるで刑務所じゃないか……)

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: