"旅行中の夫に告げなかった葬儀" 第4話
「は……父さんが?」
義母は目を見いた。
「うそ……葬儀だって、まだしてないじゃない」
菜さんは淡々と答えた。
「葬儀はとっくに終わったわ。あなたたちが旅を満喫しているにね。喪主は私が務めたし、あゆみちゃんにもいろいろ伝ってもらった」
義母は瞬言葉を失ったあと、急に私を睨んだ。
「そんな事なことを、なんで教えてくれなかったのよ」
優斗も私に詰め寄った。
「そうだよ、あゆみ。なんで俺たちに教えなかったんだ。俺たちへの嫌がらせか。あまりにも酷すぎるぞ」
私は静かに優斗を見返した。
「私も菜さんも、ちゃんと連絡しました」
「はあ?」
「それなのに、あなたはまともにの話を聞かずに切ったのよ」
優斗の顔がこわばった。
「まさか、あの話か?」
「そうよ。そのも私は何度も連絡したわ。メッセージも送った。でも既読にもならなかった」
菜さんも続けた。
「私も何回もかけた。でもお母さんの携帯は対応じゃなかった。優斗にもつながらなかったから、あゆみちゃんにお願いしたのよ」
義母は目元を押さえ、泣くふりをするように声を震わせた。
「こんなのひどいわ。お父さんの葬儀にもさせてもらえなかったなんて。ちゃんと私に連絡してくれれば――」
「責任転嫁しないでください」
私はい調で遮った。
「私の話を聞かずに切ったのは優斗です。
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旅の邪魔をするなと言って、話を切ったのはあなたたちです」
優斗は歯をいしばった。
「おがもっと伝える努力をしていればよかっただけだろ」
「話そうとしても、あなたは暴言を吐くばかりだったじゃない」
「おがしつこいから、にブロックしてたんだよ」
その言葉を聞いた瞬、菜さんの顔から完全に表が消えた。
菜さんは、く息を吐いた。
「もう終わったことを言いっても仕方ないわね。最に、お父さんの遺言だけ教えてあげる」
その言葉に、義母の表が変わった。
「遺言……そうよね、遺言があるわよね」
優斗も急にを乗りした。
菜さんは、たい声で告げた。
「優斗に相続される予定だった財産は、に譲る。そして、お母さんの分の財産は、これまでの浪費分を相殺した残りだけを相続させる。そういう内容よ」
優斗は瞬固まったあと、声を荒げた。
「俺がもらうだろ。勝にに渡すとか決めるな」
義母も顔を真っ赤にした。
「そうよ。私たちは正当な相続なのよ。そんなふざけた内容、おかしいわ。ちゃんと3等分しなさいよ」
菜さんは歩も引かなかった。
「ふざけないで。今までも散々お父さんに迷惑をかけてきたくせに。これは弁護士を通して決まったことよ。今さら覆ることはないからね」
優斗はしばらく黙った。
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けれど次の瞬、信じられないことをにした。
「まあ、いいけど。にが入るなら、結局俺のものみたいなもんだしな」
その言葉を聞いた瞬、私ので最の糸が切れた。
のために残されたものまで、自分のものにしようとしている。
このは、もう夫ではない。
私は静かにをいた。
「そのことだけど、私たちの婚についても、弁護士さんから話があるとうから」
優斗は目を見いた。
「婚? なんで?」
本当に分かっていない顔だった。
私はまっすぐ優斗を見た。
「今までしてきたけれど、今回のことで限界が来たわ。お世話になったお義父さんもいなくなった。もう、あなたの嫁でいたくない」
「ふざけるな」
「も私の元で育てます」
義母が叫んだ。
「父親をくした優斗からまで奪うなんて、なんてひどい嫁なの」
優斗もを乗りした。
「そうだ。の親権は絶対に譲らないからな」
その、菜さんがたく言った。
「何を言っているの? あゆみちゃんが、あんたたちにこれ以振り回される必はないわ。それに、あんたたちの居所はもうこのにはない。さっさとてって」
義母は信じられないという顔で菜さんを見た。
「何を言ってるのよ、菜。私たちは親子でしょう」
「私たちを邪険に扱ったが、よく言うわね。もう、あんたたちとは族じゃない。
てって。く」
菜さんの表に押され、優斗と義母は何も言い返せなかった。
2はりと揺を抱えたまま、義実をにした。
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