みかん小説
本棚

"味噌かめの下に眠った七年" 第2話

つまり、の仕事もの仕事も、その両方を実質に彼女が1で握っていた。

しかし、そんなで、齢の鈴製造氏の健康はしずつ衰え始めていた。折り、同じ言葉を何度も繰り返したり、たった今ってきたばかりの理容のことを完全に忘れてしまったりすることが頻繁になったという。息子の浩は「度病院に連れてくべきだ」と妻に相談したが、嫁の両子はを横に振ってそれを拒んだ。「環境の変化でかえって症状が悪化してしまいます。このままでお世話をするのが番最善なんです」。両子はそう主張し、鈴氏のそばに残り、を完全に把握できる物は嫁の両子だけになっていった。

い塀の内側で、真っ先にい亀裂がじたのは、財産の相続問題であった。鈴製造氏は老期に入るにつれて、自が築きげた建物とをどのように理すべきかを族のし始めるようになっていた。「宮町にある商業ビルは、俺のは孫たちの名義に変更したい。それから、郊にあるについては、社会福祉団体にすべて寄付したいんだ」。鈴氏は卓で何度もそんな言葉をにしていたという。

、鈴氏のい親戚であった伊藤は、に捜査員ので当の様子をこのように語っている。

広告

「おじいさんがその話を切りした瞬、横で聞いていた嫁の両子のからすれば、それは軽く聞き流せる話ではなかったんでしょうね。卓の空気が、まるで氷のように瞬でたくなったのを覚えています」。

両子のからすれば、鈴氏のその言葉は到底受け入れられるものではなかった。彼女はこのに嫁いでからの15甲斐ない夫の代わりに鈴氏の計と産管理を事実1で全て引き受けてきた自負があった。それに対して、夫の浩はの仕事をすべて妻に任せきりにし、暇つぶし程度に産管理会社の子にただ座っているだけの物だった。実質計の主であり、財産を守ってきたのは自分だという烈な自負が両子にはあった。そのような彼女にとって、財産が孫や社会福祉団体へ流れていってしまうということは、自分が捧げた15の歳がすべて無駄に終わるということをしていた。

そのため、息子の浩と両子のにもい溝が広がっていった。所の民である林氏は、あるの夜、2が暗い庭にて激しく言い争う声を塀越しに偶然にしていた。両子の気を含んだ声がはっきりと聞こえたという。「あなたのお父さんの財産のことなのに、なぜいつも全ての面倒を私に押し付けるのですか! 私がこので、ただの都のいい雑用ばかりをしているとでもっているのですか!」

広告

。それに対して夫の浩はほとんど何も言い返さず、いつも言いいが始むと自分の部に入ってドアを閉めてしまう物だった。

そして、鈴製造氏のの仕事のであり、産契約を共に取り仕切ってきた宅建物取引士の渡辺造氏(当60歳)も穏な空気をじていた。渡辺氏は1997頃、鈴氏から非常に奇妙な言葉を聞いたと、警察に陳述している。鈴氏は、声を潜めて静かにこう言ったという。「渡辺さん、実はな……嫁の両子が、俺の事な実印を体どこに置いているのかを、俺の留守を引っかき回して探りしようとしているみたいなんだ。だからな、俺はあいつに分からないように、実印を別の所に隠しておいたんだよ」。

渡辺氏はその、ただの老の被害妄だろうと聞き流してしまった。しかし、そのの言葉が、になってあのようにくおぞましい事実となってのしかかってくるとは、そのにもわなかった。

19977のあるのことだった。そのは、の最気温が37度までがった、記録な猛暑であった。セミのけたたましい鳴き声が響いていたあの午、鈴製造氏はいつものように、の決まりきった予定通りにきつけの理容を訪れた。

理容師の氏は、あのの鈴氏のことをはっきりと記憶していた。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: