"次の駅で降りなさい" 第4話
けれど今は言えなかった。
証拠がりない。
まだ母を守れる確信がない。
母はほっとしたように笑った。
「だったら丈夫」
そしてさく付け加えた。
「揉め事はやめてね」
その言葉が胸に刺さった。
母は完全に美を信頼している。
そして私を信頼していない。
なくとも美ほどには。
私は部をた。
廊を歩きながら、自分がどれほどれた所にいたのかいった。
翌朝。
私は誰にも言わずをた。
たい空気が肺に入る。
駅のへ向かう。
老婦の言葉がかられなかった。
――今から調べなければにわない。
の窓で分証を提示し、事を説した。
共名義であること。
実の所。
産の件。
若い担当者は何度か確認し、奥へ消えた。
待の計の針だけがいている。
分。
分。
やがて担当者が戻ってきた。
にはいファイルがあった。
「お待たせしました」
表がし困っている。
嫌な予がした。
「こちら、現審査の案件ですね」
「審査?」
「はい」
担当者は画面を見ながら答えた。
「融資実の最終確認段階です」
私は息を止めた。
「申し込んだのは誰ですか」
担当者は画面を確認した。
そして言った。
「野美様です」
臓がく打った。
やはり美だった。
「用途は?」
「舗運営資です」
舗。
つまり美の。
「担保は?」
担当者が答える。
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「実のと建物です」
私は目を閉じた。
予していた。
それでも現実になるとい。
「融資額は?」
「千百万円です」
千百万円。
母のを担保に。
「実予定は?」
「です」
あと。
老婦の言葉通りだった。
私はさらに聞いた。
「共名義全員の同はあるんですか」
担当者が画面を見た。
「全員同済みとの記載があります」
私はを乗りした。
「誰の同ですか」
担当者は読みげた。
「野静子様」
母。
「野健様」
兄。
そして。
「原田誠様」
夫。
私の名はなかった。
の名もなかった。
それなのに。
全員同済み。
完全な虚偽だった。
私はちがった。
の覚がい。
でもは妙にえていた。
全部繋がった。
老婦。
契約。
夫の署名。
万円の送。
そして。
美は母のを担保にして千百万円を借りようとしている。
しかも共者の同を偽って。
私はをた。
たいが吹いている。
けれど今度は震えなかった。
ようやく戦う相が見えたからだ。
そして私はバッグから、あの切れを取りした。
。
きの話番号。
私はく息を吸った。
次にかける話は、このだった。
をた私は、駅のベンチに腰をろした。
のが吹いていた。
だが、肌寒さはじなかった。
のでは数字だけが回っていた。
千百万円。
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。
全員同済み。
そして――嘘。
私は財布からのを取りした。
震える指で番号を押す。
回目のコールで話が繋がった。
「はい、です」
落ち着いた声だった。
「幹線でお話した咲です」
い沈黙。
「確認されましたか」
「はい」
私が答えると、は静かに言った。
「では、もうがありませんね」
私はで聞いたことを全て話した。
融資。
担保。
千百万円。
全員同済み。
話し終える頃には息ががっていた。
は最まで黙って聞いていた。
そして言った。
「、司法士が来るはずです」
私は驚いた。
「ごじなんですか」
「当然です」
の声は静かだった。
「本登記のには必ず確認があります」
私は息をんだ。
「じゃあ……」
「私もきます」
その言で胸がし軽くなった。
初めて方ができた気がした。
そので私は弁護士事務所へ向かった。
誠ではない。
誠のりいでもない。
全く無関係な弁護士。
藤崎弁護士は代の男性だった。
私が類を差しすと、枚ずつ丁寧に読んだ。
い沈黙。
やがて顔をげた。
「止められます」
その言葉に力が抜けそうになった。
「本当ですか」
「共名義全員の同が必です」
藤崎は契約を指差した。
「あなたもさんも同していない」
「はい」
「なら本来成しません」
私は目を閉じた。
ようやくが見えた。
「ただし」
藤崎は続けた。
「になってはいけません」
私は顔をげた。
「事実だけを積みげてください」
その言葉を私はく胸に刻んだ。
夕方。
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