みかん小説
本棚

"長男の嫁の答え" 第2話

私はパジャマのにコートを羽織り、の鍵を握りしめて極寒の夜のへとらせた。

義母のマンションに到着し、鍵をけてに入ると、部は静まり返っていた。義母はリビングの隅でガタガタと震えていたが、を探しても誰もいなかった。棒などどこにもおらず、すべては認症が見せた義母の錯覚だった。義母を落ち着かせ、温かいお茶をませて寝かしつけ、私が自宅の玄関ドアをけたには、の空がみ始めた朝の4を過ぎていた。

、朝のトーストをに運ぶ夫のに、私はクマの浮きた顔で座り、昨夜の来事を静かに説した。夫はコーヒーをみ干し、計を見ながら言った。 「そうか、変だったな」 その言葉に、私はしだけ救われるかもしれないとった。しかし、夫が次に放った言葉は、私の淡い期待を無残に打ち砕いた。 「でもまあ、男の嫁なんだから仕方ないだろ。それが役目なんだから」 夫のからたのは「仕方ない」という諦めの言葉だった。私は、夫から変だったなという同ではなく、私の苦労に対する「ありがとう」という謝の言葉が欲しかった。しかし、夫の辞にその3文字は最初からしなかった。

3目に入ると、義母が自宅の段差で転倒し、腿骨を骨折して緊急入院することになった。

広告

2週に及ぶ入院活の、夫が病院にお見いに姿を見せたのは、平の仕事帰りのわずか3回、にしてそれぞれ15分程度だった。それ以の毎事の介助、医師からの説い、着替えの洗濯といった付き添いの仕事は、すべて私がパートを休んでこなした。

退職、義母の介護度は最の「4」にがり、自宅での介護は能と判断され、専の介護施設への入居が決まった。入居続きをすべてで終わらせたの夜、夫はリビングで缶ビールを美しそうに喉に流し込みながら、ソファに背もたれて言った。 「いやあ、本当に変だったな。でもさ、これで良い練習になったな」 私はキッチンで洗い物をしていたを止め、濡れたのまま夫を振り返った。 「……練習、ですか?」 夫はビール缶をテーブルに置き、満げに微笑んだ。 「そうだよ。おの実のお母さんのの練習さ。これで介護のやり方も、続きの流れもバッチリ分かっただろ?」 その言葉が夫のから滑りた瞬、私の脳内の奥くで、何かがパチンと音をてて完全に切れた。 この4、緊急連絡先として24怯え、役所の続きにり回り、夜ばし、病院の子で夜をかした。その血の滲むような私の4を、この男は「おの実の母のための練習」

広告

だと、本気で、からそうっていたのだ。私は何も言わず、ただ静かに夫の笑顔を見つめ返すことしかできなかった。

義母が施設に入居し、物理な介護のれたものの、私の携帯話が鳴り止むことはなかった。施設からの体調良の連絡、常の消耗品の補充、定期な通院の付き添いや役所の続きは、相変わらずすべて私の元へと回ってきた。夫は「施設のプロに任せているからだ」とにしながら、相変わらずに1度、ぶらで顔をすだけの々を送り、私は変わらず実務に追われ続けた。

義母が施設に入って半が過ぎた、うだるような暑さが始まった頃だった。夫は夕の席で、スマートフォンの画面を見つめながらしたように私に言った。 「あ、そうだ。母さんの実さ、ずっと空きになってるから、お、片付けてきてくれよ。このままじゃ所に迷惑だし、放っておけないだろ」 義母の実は、ここからで片1もかかる所にある。私は箸を置き、夫の顔を真っ直ぐに見つめた。 「緒にってはくれないの? あなたの実でしょう」 夫は迷惑そうに眉をひそめ、たく言い放った。 「俺は仕事があるんだよ。おはパートのシフトを調すれば、があるだろ」

結局、私はパートの数を減らし、梅けた7の炎、義母の実へとで通い始めた。

それは、義母が60暮らしてきた、古くい記憶の塊を理する過酷な労働だった。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: