みかん小説
本棚

"青い門扉の三つ子" 第4話

子供たちは必ずきて戻るとも言った。

けれど、その記者はに奇妙なことを語っている。

取材、健線は度も記者へ向かなかった。ずっと窓のの突き当たりにある青い扉のを見ていたという。

は何かをっていたのか。それとも、ただ疲れ切った父親の虚ろな目だったのか。

誰にも分からなかった。

になると、正子は目に見えて痩せていった。健を辞めたという噂が流れた。夫婦は以のようではなくなっていた。子供を失ったしみが、2を別々の所へ押し流していた。

その頃、老会の林松子が警察を訪れた。

林は事件から3、吉子が札の途でこう呟いたのを聞いたという。

「子供たちはもう楽なところにいる。寒くないところにいるだろう」

その言葉は、孫を配する祖母のものにも聞こえた。だが、が経つにつれ、林は眠れなくなった。

警察がその証言を突きつけると、吉子の顔に初めてさな亀裂がった。

1993、捜査にしく加わった刑事、夫は、最初から事件ファイルを読み直した。本は当38歳。派な言葉を使わず、1枚ずつ資料をめくるような刑事だった。

彼が注目したのは、吉子のの庭だった。

事件初期、警察は吉子のを確認していた。しかし庭の片隅にあるさな倉庫だけは、吉子が鍵を持っていないと言ったため、けられていなかった。

広告

古い倉庫だから錠が錆びている。吉子はそう説していた。

本は吉子に倉庫をけるよう求めた。

吉子は鍵を探すと言った。2経っても見つからないと言った。本は令状を取り、3、倉庫の扉はけられた。

には古い農具、空の段ボール箱、使われなくなった具がぎっしり詰まっていた。湿ったの匂いがをつき、く閉ざされていた空気がへ漏れた。

刑事の1が、片隅にある古い毛布の塊に気づいた。

毛布をめくると、そのからさな類がてきた。子供用の肌着、毛糸の着、そして青いスニーカーの片方。荒子川で見つかった靴と対になるものだった。

本は吉子を見た。

吉子は言も発しなかった。

「これは何ですか」

本が尋ねると、吉子はを置いて答えた。

「ずいぶんに、健が置いていったものだといます」

声は揺れていなかった。

だが、毛布のからさらに1枚の切れが見つかった。さなに、押しつけるような跡で名が3つかれていた。

優斗。優馬。優夜。

そのには、19921214付があった。

子供たちが消えた、まさにそのだった。

その切れは、20を待たずして真実に触れる入になるはずだった。しかし当、それだけで吉子を縛ることはできなかった。吉子はらない、分からない、覚えていないと繰り返した。

広告

同じの5、事件の流れを変える物が現れた。

吉子のい親戚にあたる斎藤文だった。彼女は岐阜県から名古まで訪れ、本のに座ると、鞄から1通のを取りした。

それは吉子がいただった。付は199212初旬。子供たちが消えるわずか10だった。

そこには、こうかれていた。

「子供たちをこれ以、嫁のには置いておけない。私が直接育てたい。それができないなら、いっそ子供たちが目に見えない方がましだ」

本はその文を読み、しばらく言葉を失った。

20126、青い扉のはすでに別の所者のものになっていた。古い建物は取り壊され、しい建物を建てるための事が始まっていた。

誰も、そのに何かが眠っているとはっていなかった。

ショベルカーの運転、鈴哲夫が空洞を見つけたことで、20の事件は再びに引き戻された。掘り返されたから見つかったさな骨は、法医学鑑定の結果、5歳から6歳くらいの子供たちのものだと確認された。

DNA鑑定で、健と正子の子供であることが分かるまでに3かかった。

優斗、優馬、優夜は、20ぶりに名を取り戻した。

発見当、吉子は78歳だった。警察が訪ねた、彼女はで洗濯物を抱えてっていた。黄い規制線が張られる景を見ても、駆け寄ることはなかった。

ただ、にしていた洗濯物をゆっくりろした。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: