"雨の夜の招待状" 第3話
「315の結婚式は、法な婚が成するですよね」
浜さんは私をまっすぐ見ました。
「はい。法には婚姻です」
「それでも結婚式をする」
「儀式そのものに法効力はありません。ただし、周囲に婚姻関係が成したかのように示す為は、な問題になり得ます。民法第732条の婚禁止規定にも関わる能性があります」
浜さんはし声を落としました。
「林さん、どの方向でめますか」
私は膝ののを見ました。
そのは、36、族のために働いてきたでした。米を研ぎ、鍋を持ち、子どものを測り、夫のにアイロンをかけてきたです。
私は顔をげました。
「夫がしいを始めるとっているそのに、すべてを受け取ってもらいたいです」
浜さんは数秒、私を見つめました。
それから静かに頷きました。
「分かりました」
部の空気がしくなりました。
私は差しされた委任状を受け取り、ペンを持ちました。
名をく、はしも震えませんでした。
のをペン先が滑る音だけが、静かな事務所に響きました。
それから3ヶ、私はいつも通りに暮らしました。
朝は正雄よりく起き、噌汁を作りました。炊飯器の音を聞きながら、弁当のおかずを詰めました。洗濯を回し、夫のワイシャツを干し、の保険更の類を理しました。
広告
正雄は私を見て、何も変わっていないとっていたのでしょう。
「いつも通りの妻」
それが夫のの私でした。
夕には、血圧の薬をむように声をかけました。
「薬、忘れないで」
「ああ」
正雄は聞から目をさずに答えました。
私は器を片づけながら、彼の横顔を見ました。
このはらない。
浜さんが財産の仮差し押さえを申してたことを。
錦のマンションが庭裁判所の審理対象になっていることを。
夫が共座から現を引きすたび、その記録が裁判資料として積みがっていることを。
そして、浜さんが夫の会社の事部へ連絡していたことも、正雄はりませんでした。
く支される退職2200万円について、婚姻財産を巡る法紛争があり、裁判所の判断がるまで扱いに注が必だと通されたのです。
退職は、凍結されました。
台所では炊飯器がさく音をて、リビングからはテレビの音が聞こえていました。
どこにでもある普通の庭の景に見えたでしょう。
けれど、その普通の景ので、すべては静かにいていました。
もう1つ、私がしたことがあります。
に浜さんから、「法律の計画には入りませんが、あなたにはそれをする権利があります」と言われたことです。
私は岡本玲子に話をしました。
広告
玲子は代からの親友です。正雄の結婚式に招かれる予定でした。正雄は、私が円満に婚を承し、自分たちを祝福しているという話をして、私たち共通の友まで招待していたのです。
話で、玲子は最初、何も言いませんでした。
私が招待状のこと、マンションのこと、遺言のことを話す、彼女は黙って聞いていました。
やがて、い声で言いました。
「義子、それ本当なの」
「ええ」
「正雄さん、あなたが祝福しているって言っていたわ」
私はし笑いました。
笑うしかありませんでした。
「そうでしょうね」
玲子はしばらく黙っていました。
それから言いました。
「私に何をしてほしいの」
私は窓のを見ました。
夕方の空はいで、くから子どもたちのの声が聞こえていました。
「その結婚式にはって。最列に座って。でも何も言わないで」
玲子は息を呑みました。
「私に証になってほしいのね」
私は答えました。
「ただ、そこにいて。そして全部覚えていて」
話の向こうで、玲子が静かに息を吐きました。
「分かった。私は見る。全部覚えておく」
315がづくにつれ、正雄はどこか浮ついていました。
普段より丁寧になりをえ、スマートフォンを持って別へくことが増えました。
私は何も尋ねませんでした。
3週には、正雄のネイビーのスーツをクリーニングへしました。
彼は当然のように受け取りました。
「助かった」
それだけでした。
私は「どこへ着ていくの」とは聞きませんでした。