"金庫に眠る遺言" 第3話
郎は1995922の朝、阪張に父のへ挨拶へき、の鍵をし借りたと話した。
「父ので阪へこうとったんです。でも父がだめだと言ったので、すぐ返しました」
3の説は、それぞれもっともらしかった。
だがその、融取引履歴からたな事実がらかになった。
1995922午4。
健名義の座から、2000万円が現で引きされていた。
港区の菱UFJの現自預払からだった。100万円の束が20本。
監映像には、子をくかぶった男性が映っていた。顔は見えない。は175cmほど。健のは165cmだった。
つまり、健本ではない。
3はまたしても否定した。
ゆき子は診療。次郎は会社で会議。郎は阪へ向かう途。
速の記録では、郎のは午320分に京料所を通過し、午510分に阪料所を通過していた。
がかりはい。
だが、決定な証拠はなかった。
事件は迷宮へ入っていった。
199510、事件はきく報じられた。
「8億円資産老夫婦失踪ミステリー」
記者たちは麻布の級宅に集まり、3の子どもたちは記者会見をいた。
ゆき子は涙を浮かべた。
「お父さん、お母さん、どこにいるの。どうか帰ってきてください」
次郎は声を詰まらせた。
「父さん、母さん、私たちが悪かったなら謝ります。どうか連絡をください」
郎は無言でをげていた。
広告
カメラのを浴びるたび、彼の顔は青く見えた。
同11、捜査は事実断された。
警察は2を方者として登録し、事件は未解決に分類された。
その、3の子どもたちは失踪宣告を申してた。
2002、裁判所は失踪宣告を言い渡した。8億円の遺産は3に均等に分配された。1あたり約2億6000万円。
麻布の宅はゆき子が、座の商業ビルは次郎が、箱根の別荘は郎が受け取った。
事件は、そうして忘れられていくかに見えた。
だが、真実は消えていなかった。
2020315。
警庁港警察署に、未解決事件専の特別捜査班が編成された。班は46歳のベテラン刑事、鈴郎だった。
会議の壁には、25の資料が貼られていた。健と子の写真、3の子どもの供述、現写真、監映像の切り抜き。
「今から々が担当するのは、1995の麻布老夫婦失踪事件だ」
若い刑事が尋ねた。
「25の事件を、今になって再捜査する理由は何ですか」
鈴は資料を机に置いた。
「科学捜査の技術がんだ。当分析できなかった繊維や微細な証拠を、今なら調べられる」
翌、特別捜査班は証拠保管庫へ入った。
3階のたい部で、古い箱が取りされた。
そのに、さな封筒があった。
「佐藤健名義の貸庫。1995105、自宅にて発見」
捜査記録には詳しく残されていなかった。
広告
調査の結果、それは港区の菱UFJ本にある貸庫だと判した。健が1992から借りていた庫で、賃料は失踪も座から自引き落としされ続けていた。
2020320午10。
の貸庫で、番号237番の扉がかれた。
には、類封筒との封筒が1つずつ入っていた。
黄く変した封筒の表には、震える文字でこうかれていた。
「私がんだら、これを警察に渡してください」
佐藤健の直だった。
封筒からは、万でかれたが3枚てきた。
鈴は袋をはめたまま、1枚目をいた。
「1995922。私、佐藤健はこのを残す。もし私が突然姿を消したり、審なを遂げたりしたなら、このを必ず警察に渡してほしい」
会議は静まり返った。
鈴は続きを読んだ。
「最、私はが子たちの奇妙なに気づいた。3で密談し、私の財産目録を密かに調べ、弁護士と相談していることまでってしまった」
「彼らは、私が財産を社会に寄付しようとしている計画をり、憤慨した。特に末っ子の郎が激しく反対した。父さんが稼いだは子どもたちのものだ、と叫んだ」
「私は恐ろしい。が子たちが、私を害するかもしれないという考えに。妻も同じ配をしている。もし々に何かあったなら、このが真実をらかにする助けとなることを願う」
はそこで終わっていた。
健は、自分に迫る危険を予していた。
だがだけではりなかった。
広告
おすすめ作品
-
完結第6話
68歳、レジで再会した友
5年前、幸子は友人・道代に笑われた。 「まだ働いてるんだね」 「月1万円の積み立てなんて、やってないのと同じじゃない」 年金10万円でスーパーのレジに立つ幸子と、余裕のある老後を語っていた道代。あの日の小さな笑い声は、幸子の胸にずっと残り続けていた。 それから5年後。 68歳になった幸子のレジ前に、道代が突然現れる。手にしていたのは、半額の惣菜と安い食パンだけ。かつて自信に満ちていた彼女の手は、なぜか小さく震えていた。 そして道代が置き忘れたポイントカードの下には、たった一言だけ書かれた紙が挟まっていた。 「相談があります」 5年前に笑った人と、笑われた人。 同じ喫茶店で再び向き合った二人を待っていたのは、思いもよらない老後の現実だった――。人生逆転|第二の人生|金銭問題8.6千字5 0 -
完結第6話
骨壷に眠る花嫁
結婚式の2日前、山田晴恵は突然姿を消した。 婚約者との口論、消えた財布、荒らされた形跡のない部屋。警察は彼女を「結婚を恐れて逃げた花嫁」と判断し、事件は自発的失踪として処理された。 家族は世間の冷たい視線に耐え、婚約者は“残された新郎”として同情を集めたまま、時間だけが過ぎていく。 しかし6年後、群馬県の国道18号線沿いで排水設備の交換工事中、コンクリート製の雨水桝から異様な包みが見つかる。 中にあったのは、人間の頭部。 歯科記録の照合により、それは6年前に消えた晴恵のものだと判明した。 彼女は逃げたのではなかった。 では、誰が彼女を殺し、なぜ道路脇のコンクリートの中に隠したのか。 “逃亡した花嫁”という嘘が崩れた時、婚約者が守り続けた6年間の沈黙が、静かにほころび始める――。ミステリー|夫婦|真実|真相9.1千字5 0 -
完結第6話
港の消失船長
1994年9月15日、橫浜港の霧深い埠頭で、貨物船の船長・木村俊助が突然姿を消した。 船長室には書類も鞄も殘されたまま。車も港內で見つかったが、本人だけがどこにもいない。最後に彼を呼び出したのは、妻の弟・佐藤健二だった。 事故か、失蹤か、それとも事件か。 真相が分からないまま7年が過ぎ、妻のゆき子は5億円の生命保険を受け取る。さらに、その一部は弟の健二へ渡り、2人は豊かな暮らしを手に入れていった。 しかし20年後、橫浜港の再開発工事で、コンテナの下から一體の遺骨が見つかる。 地下3メートルに埋められていた船長。 そして、止まった腕時計が示していたのは、失蹤當日の朝だった――。真実|裡の顔|行方不明9.3千字5 65