"港の消失船長" 第3話
理由はだった。
「義兄が急に必だというので、300万円ほど貸すつもりでした」
捜査員は眉をひそめた。
「約束の所へはったのですか」
健は首を横に振った。
「起きられませんでした。アラームが聞こえなくて」
急に300万円を貸す約束をしていたのに、寝坊でかなかったという説は自然だった。捜査員はさらに尋ねた。
「その300万円はどこにありますか」
「にあります。渡せなかったので」
、警察が確認すると、健のには確かに封筒に入った300万円があった。
供述は形のでは成した。
しかし、捜査員のに残った違は消えなかった。
港での聞き込みは広範囲にわれた。
作業員、警備員、運転、朝に入りしていた関係者。捜査員は1ずつ話を聞いて回った。ほとんどのは、何も見ていないと答えた。朝の港では、はなくても、作業自体は珍しくなかった。誰がどこを歩いていたか、はっきり覚えている者はなかった。
そので、1だけ興い証言をした物がいた。
港湾労働者の鈴太郎だった。50代の男で、その朝、午450分ごろ、コンテナ置きのくを通りかかったという。
「2の男が、コンテナのへ入っていくのを見ました」
捜査員たちはを乗りした。
「どんな男でしたか」
鈴は記憶を探るようにし黙った。
「暗くて顔までは見えませんでした。
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ただ、1は背がくて、がっしりしていました。に似ていたといます。もう1はし柄で、細でした」
「争っている様子はありましたか」
「いいえ。普通に歩いていました。会話しているようにも見えました」
鈴はそのまま仕事へ向かったため、2がそのどうなったかは見ていなかった。
この証言は、が誰かと会っていた能性を示していた。柄で細の物が佐藤健である能性もあった。
健は再び呼びされた。
「本当にその朝、港へかなかったのですか」
健は「っていません」と繰り返した。
「で寝ていました」
「それを証できるは?」
健は線を落とした。彼は1暮らしだった。アリバイを証できる物はいなかった。
だが、目撃証言だけでは逮捕も起訴もできなかった。鈴は顔を見ていない。防犯カメラの映像も鮮だった。内に血痕もなければ、遺体もない。
俊助はどこへ消えたのか。
捜査は迷に入った。
1ヶが過ぎた。自殺、事故、誘拐、殺。どの能性も検討されたが、決めはなかった。の捜索も続けられたが、何もなかった。港内も再び調べられ、コンテナ置きも確認されたが、特別なものは見つからなかった。
何百ものコンテナが並ぶ広な所を、完全に調べ尽くすことは難しかった。封印された貨物コンテナもく、全てをけるわけにはいかなかった。
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だけが過ぎていった。
3ヶ、報の関もれた。最初はきく取りげられた失踪事件も、しい事件が起きるたびに世の記憶から押し流されていった。
ゆき子は1で2の子供を育てることになった。夫の料が途絶え、活は苦しくなった。スーパーのレジでパートを始め、子供たちの活を守ろうとした。
その、弟の健がいに助けた。
活費を援助し、子供たちの教育費も支えた。正やお盆にはまとまったを渡した。ゆき子は周囲に何度も言った。
「弟がいなければ、きていけませんでした」
事件は未解決のまま、1、2、3と過ぎていった。
俊助は、記録のの失踪者になった。
の失踪から5が過ぎるころ、ゆき子は夫が戻らない現実を受け入れ始めていた。
子供たちは成していた。男はになったが、父親を失ったしみを抱え、成績が落ちた期もあった。女も数がなくなった。のには、父親のがく残っていた。
しかし、活は続いていく。
ゆき子は働き、健は援助を続けた。周囲から見れば、姉を支える弟の姿は献だった。誰もその裏に隠されたものを疑わなかった。
2001、失踪から7が経過した。
ゆき子は庭裁判所へ失踪宣告を申してた。続きがみ、俊助は法律、したものとされた。
は、失踪した1994915と定められた。
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