"臨月の娘の痣と母の三本の電話" 第7話
蛍ペンの黄い線が、複雑怪奇な資移の表を次々と塗りつぶしていきました。
隣席の輩記者がコーヒーカップをに、興奮を隠せない様子で覗き込んできました。
「デスク、この神聖グループのネタ……本当に面トップで張れるんですか?」
健は線を資料からさず、ペンをらせながら即答しました。
「面どころの騒ぎじゃないぞ。本の経済史に残る疑獄だ」
健はモニターに表示された相関図を指先で叩きました。
「財団からペーパーカンパニーへ流れた資が、複数のダミー座を経由して、グループ核の神聖建設へ寄付の名目で還流している。その額、判しているだけで百億を超えている」
輩記者は息を呑み、目を丸くしました。
「百億……! デスク、この資料の所は体どこなんです?」
健は鋭い目で輩を制しました。
「墓まで持っていく話だ。それより、俺たちがやるべきことはただつ。この内部資料を、全て公な示報で完璧に裏付けることだ」
健は子からちがり、着を乱暴に羽織りました。
「融庁の子示システム、法務局の法登記簿謄本、国税庁への報公請求……全て自分たちのと目で洗うぞ。向こうの顧問弁護士軍団が言も反論できない、完璧な包囲網を敷くんだ」
それからにわたり、健の特捜取材班は眠休でき続けました。
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法務局で引きしたダミー会社の登記簿には、神聖グループの元総務部の名が役員として連なっていました。
融庁の公データと照すると、使途の付と額が、驚くべき精度で致していきました。
「デスク、見てください!」
輩記者が叫ぶように差しした対照表ので、すべてのパズルのピースが完璧に組みわさりました。
健は赤ペンをデスクに置き、く息を吐きしました。
「……よし。これで逃げは完全に塞がれた。稿を入れるぞ」
の朝、全国の朝刊面に、墨黒の巨な見しが躍りました。
『神聖グループ財団資、数百億円の透な還流疑惑――実態なき法を通じた循環資と巨額脱税の疑い』
記事はな告発を切排し、客観な数値、座の系列、登記簿謄本の複写データのみを徹に陳列していました。
しかし、事実のみで構成されているからこそ、その破壊力は圧倒でした。
神聖グループ本社ビルの広報部フロアは、朝から鳴り止まない話の嵐で蜂の巣をつついたようなパニックに陥っていました。
最階の会で、創業者である斎藤建造会が聞を握りしめ、顔面を真っ赤にして号を轟かせました。
「これは体どういうことだ! なぜこんな社秘の数字が、言半句狂わずに聞社に漏れているんだ!」
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広報担当役員は青ざめ、脂汗を垂らしながら直で震えていました。
「は、現……調査でありまして……」
「調査だと!?」
建造は机を力任せに叩き、聞を役員の顔面へと投げつけました。
「今すぐその聞社に抗議文を叩き込め! 名誉毀損で訴えると脅せ! 全ての広告稿を即引きげろ!」
役員は困惑の表を浮かべ、恐る恐るをきました。
「し、しかし会……今の世論の状況で広告の引きげをえば、言論弾圧としてかえって激しい批判を浴びることになります……」
建造はギリギリと歯ぎしりをし、猛獣のように会を歩き回りました。
「ならどうしろと言うんだ! 俺が直接、聞社の幹部を料亭に呼びす! 今すぐ席をセッティングしろ!」
しかし、事態はすでに、と権力によるもみ消しが通用する段階をとうに超えていました。
同じの午、太田健のデスクの話が鳴り響きました。
受話器を取ると、神聖グループ広報部の幹部からの、卑屈な猫撫で声が聞こえてきました。
『太田デスク、いつも変お世話になっております。実はですね、が社の会が、ぜひ度デスクとお事でもご緒しながら、事実関係の誤解を解きたいと申しておりまして……』
健は淡な表のまま、ややかな声で刀両断に切り捨てました。
「申し訳ありませんが、当方は現、続報の裏付け取材の真っ最ですので、個別のお事のお誘いには切応じられません」