"十五年間謝り続けた私に、夫は妹の子を差し出した" 第17話
本の広をにしたそので、私は陸くんを連れて片岡弁護士の待つ事務所へ向かいました。
子の再婚相の族が配した調査員と、児童相談所の担当ケースワーカーがすでに同席していました。
陸くんが握りしめていた子の脅迫メモと、昨夜の虐待まがいの音声を正式に引き渡しました。
親権者である子への指導と、陸くんの全な活環境の確保は、政と法の続きに委ねられました。
に乗り込む際、陸くんは私を振り返り、くをげました。
その幼い顔には、怯えではなく、自分ので現実に向きおうとするさな決が灯っていました。
子どもをの勝な取引の具にさせるは、完全に終わったのです。
私はそののうちに、田に戻って必最限の荷物をまとめました。
父の務の古い板と、母の形見の箱。
そして分の計簿と、私が実から持ち込んだ資の通帳だけをトランクに詰めました。
あの男が買い与えた貴属やなど、片たりとも元に残しませんでした。
タクシーを呼び、暮らしたの鍵を玄関の靴箱のに置きました。
引き戸を閉めた瞬、私の首を絞め続けていた見えない縄が、音をててちぎれ落ちました。
しく借りたのは、駅から徒歩分の所にある、築のさなワンルームマンションでした。
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い壁に、陽当たりのいい向きの掃きし窓。
具はさなベッドと、き物をするための製の折りたたみ机だけです。
かつて父の務で経理をしていた経験を活かし、私は元の建材卸売会社の経理事務の仕事を見つけました。
のブランクはありましたが、複写伝票とき台帳で鍛えげた数字の覚は、体がしっかりと覚えていました。
取りは万円に満たないでしたが、その円円が、誰の顔も窺わずにに入れた、私自の尊厳の対価でした。
方、田の崩壊は、崩のように加速していきました。
曜の朝。
方裁判所による仮差押命令が執され、修の会社の全預座が斉に凍結されました。
信用庫は即座に追加融資を打ち切り、設備投資のために抱えていた数千万円の負債が気に表面化しました。
さらに、本の宴会で親戚同のに晒された「の妊偽装」と「甥の押し付け詐欺」の噂は、瞬くに元の商会へと広まりました。
駅の備事の入札資格は止され、請け業者への資材費の決済は渡りをしました。
虚栄と嘘で塗り固められていた夫のは、私がをしただけで、台から音をてて砕け散ったのです。
の初め、私が勤務先のオフィスをたときでした。
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ビルのから、を引きずりながらづいてくるがありました。
すっかり毛玉のついた派なカーディガンを羽織り、髪を振り乱した老婆。
義母の富でした。
「美智子さん……! 美智子さん、待っておくれよ!」
富は擦り切れたバッグを胸に抱え、枯れ果てた声で私のくに回り込んできました。
本で威張り散らしていた頃の傲さは消え失せ、落ちくぼんだ目には焦燥と狂気だけが宿っていました。
「あんた、よくも平気な顔で働いていられるね! 修の会社は倒産寸だし、本も差し押さえられそうなんだよ!」
富は震えるで私の腕を掴もうとしました。
私は歩がり、そのをややかに躱しました。
「触らないでいただけますか」
「たいことを言うんじゃないよ!」
富は通の目を気にする素振りもなく、端で喚きてました。
「あんたは田のの嫁だろうが! 私がこんなに腰を痛めてるのに、放りして逃げるなんて罰が当たるよ! 今すぐに戻って、修の借を用てて、私の面倒を見なさい!」
かつてなら、この理尽な声に縮こまり、平謝りしていたはずでした。
けれど今、私の胸にあるのは、乾いた失笑だけでした。
私はバッグから、片岡弁護士の名義が刷られた通の面を取りしました。庭裁判所に提済みの『婚調申兼受任通』の控えでした。